[II-TRPAL-04] 新生児・乳幼児期に手術を受ける先天性心疾患患児の口腔機能障害予防~口腔刺激介入による効果~
キーワード:口腔刺激, バンゲード法, 哺乳障害
【背景】生後半年は哺乳を通して口腔機能を獲得していく時期であるが、先天性心疾患患児はその時期に手術を要し、成長・発達が阻害されやすいと言われている。【目的】先天性心疾患術後患児に対し経口哺乳制限中から行う口腔刺激が口腔機能障害予防となるか検討し,周手術期患児の口腔機能発達の一助となることを目指す。【方法】生後6か月までの先天性心疾患術後患児に対し口唇訓練(バンゲード法)を実施(以下、介入群)。口唇訓練導入前の生後6か月までの先天性心疾患術後患児(以下、非介入群)と介入群で術後の経口哺乳開始から経管栄養中止までの日数(以下、経口哺乳確立日数)と経過を診療録より検証、Mann-WhitneyのU検定とSpearmanの順位相関係数で検定した。介入群の家族へアンケート調査を行った。【結果】全対象者(96例)の術後経口哺乳確立日数と要因を分析した結果、挿管日数が長いほど経口哺乳確立日数が長かった。非介入群(74例)と介入群(22例)では経口哺乳確立日数に有意差はなく、口唇訓練実施回数と経口哺乳確立日数間の相関関係もなかった。非介入群・介入群とも月齢・術式による経口哺乳確立日数に差はなく、月齢・術式で介入による経口哺乳確立日数に有意差もなかった。しかし,介入群の家族へのアンケートでは手術前後の哺乳の様子の違いについて、63%が術後の方が良く飲めていると回答した。【考察】有意差が出なかった要因として、介入期間の短さ・介入方法・効果の検討基準・介入対象者の背景が考えられた。そのため、介入方法や期間を再考し継続的に行い評価する必要があると考える。アンケート結果は肯定的な意見が多く、家族にとって哺乳は大きな関心事項であることがわかった。【結論】本介入について家族の満足度は高かったが口腔機能障害予防に明らかな効果はなかった。今後他病棟・歯科との連携を強化した継続的な介入等、方法を検討することで口腔機能発達の一助となる可能性が期待される。