[II-YB02-03] 心臓MRIと心臓カテーテル検査を用いて予測したFontan術後CVPは高精度に実測CVPに一致する。
キーワード:Fontan手術, 心臓カテーテル, 心臓MRI
【背景】近年、imaging modalityの進歩により右心バイパス循環についても知見が集積され、特にBi-Directional Glenn(G)循環では心拍出量の約40%が体肺短絡側副血流(SPCF)であることが明らかとなり、Fick法の限界が広く認識されている。Fontan(F)術の適応も心臓カテーテル検査(カテ)からmulti-imaging modalityによる集学的評価が重視されつつある。我々は心臓MRI(CMR)とカテのデータを用いてG循環からF循環への血行動態変化に規則性があることを発見し、G循環のLAP・Ao flow・RpI・SVC flow・上半身体血管抵抗の関数としてF術後CVPが予測できることを報告した(50thJSPCCS 2014)。今回、F循環非成立症例を含む新たな14例についてこの予測式の妥当性を検証した。
【対象と方法】対象は2016-18年にF術前にCMRとカテを同時期施行した14例。既報推定式からF術後の推定CVPを算出し実測CVPと比較した。
【結果】推定CVPと実測CVPはR=0.69で正相関した。F循環非成立の1例では、SVC圧 8mmHg, RpI 0.36W単位であり従来評価からはF術可能と判断されたが、推定CVP=16.2mmHgと高値で、実測CVPも17-20mmHgとなりtake downを必要とした。F循環成立13例の推定CVPは10.3±1.4(8.6-13.7)mmHgであった。
【考察】F循環非成立例では大きなVV collateralがあり、occlusion testでSVC圧の上昇は3mmHgにとどまったためF術適応と判断した。しかし、CVP推定式構成成分のうちSVC flow(G) が0.88L/min*m2と小さく、高いSPCF(1.67L/min/m2)に牽引される形でAo flow(G)=5.43L/min*m2と増大していた結果、予測CVPは高値となり、実際にF循環不成立であった。SVC flow低値およびSPCF高値は肺血管床の乏しさを反映していると考えられ、F循環成立要因をよく表現した推定式ともいえる。
【結論】本推定式によるCVP 15mmHg付近がF循環成立のcut offと推測され、これを用いることで綿密なF術適応評価が可能であると考えられた。
【対象と方法】対象は2016-18年にF術前にCMRとカテを同時期施行した14例。既報推定式からF術後の推定CVPを算出し実測CVPと比較した。
【結果】推定CVPと実測CVPはR=0.69で正相関した。F循環非成立の1例では、SVC圧 8mmHg, RpI 0.36W単位であり従来評価からはF術可能と判断されたが、推定CVP=16.2mmHgと高値で、実測CVPも17-20mmHgとなりtake downを必要とした。F循環成立13例の推定CVPは10.3±1.4(8.6-13.7)mmHgであった。
【考察】F循環非成立例では大きなVV collateralがあり、occlusion testでSVC圧の上昇は3mmHgにとどまったためF術適応と判断した。しかし、CVP推定式構成成分のうちSVC flow(G) が0.88L/min*m2と小さく、高いSPCF(1.67L/min/m2)に牽引される形でAo flow(G)=5.43L/min*m2と増大していた結果、予測CVPは高値となり、実際にF循環不成立であった。SVC flow低値およびSPCF高値は肺血管床の乏しさを反映していると考えられ、F循環成立要因をよく表現した推定式ともいえる。
【結論】本推定式によるCVP 15mmHg付近がF循環成立のcut offと推測され、これを用いることで綿密なF術適応評価が可能であると考えられた。