第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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教育講演

教育講演3(III-EL03)
カテーテル治療温故知新

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM 第2会場 (大ホールA)

座長:富田 英(昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター)

[III-EL03-01] Porstmann法とは何であったのか?

熊手 宗隆 (花畑診療所)

動脈管開存に対するカテーテル閉鎖術の先駆けであるPorstmann法(以下P法)は1967年に当時は東ドイツのHumboldt大学の放射線科教授のW. Porstmannにより考案され発表された歴史的にも画期的な動脈管閉鎖法です。
心臓カテーテル検査時にPDAがカテーテルによって閉鎖された時に、一時的に心雑音が消失する事に着目し1957年より研究開発を始め1966年に臨床例で成功し第8回国際心臓血管学会で報告されました。ところが当時は東西冷戦の真っ直中であり、西側医学界は全く評価もせず無視を決め込んだためP法が広まっていく事はありませんでした。
唯一東北大学放射線科の高宮 誠先生が東ドイツまで出向きPorstmann教授に弟子入りし器具の作成方法から伝授して貰い帰国、1973年の胸部外科学会誌に日本での初成功例を報告されました。その後は大阪大学、和歌山大学、久留米大学などの心臓血管外科がP法を取り入れ国内で症例数が伸びました。高宮教授はその後東京女子医大から国立循環器病センターへと移られこの二施設でもP法が行われるようになりました。しかし、P法は手技の一部分に外科的手技が必要なため小児循環器科医師には手が出しづらい物でした。
その後、PAバルーン拡大や側副血行路のcoil塞栓術などでカテーテル治療に参入してきた小児科医によるPDAのcoil閉鎖術が始まると、P法症例は急速に減少していきました。開大し壁の石灰化を認めるようなcoil閉鎖不能な高齢者症例などで細々と継続していましたがAmplatzerの登場でP法は終焉を迎えました。