[III-OR36-02] 小児期高度~完全房室ブロックの検討
Keywords:房室ブロック, 予後, 合併症
【背景】月齢1以降15歳までに診断される小児期の高度/完全房室ブロックはまれではあるが一定数存在する。その原因並びに自然歴は不明な点が多く、ペースメーカー治療(PMI)を介入すべきか悩ましい。【目的】小児期房室ブロックの経過を調査すること【対象】月齢1から15歳までに高度または完全房室ブロックとされた症例。(除外基準:胎児期~新生児期の房室ブロック例、母体が自己免疫性疾患を有する、先天性心疾患合併あり、開胸術・胸部外傷・心筋炎の既往あり、遺伝的背景あり、染色体異常あり。)【方法】過去の診療録より症例を抽出し、疾患背景、CTR、心電図(HR、QRS時間、QTc)、心臓超音波の経過について後方視的に検討した。【結果】1)症例:5名(男1、女4)、全例SSA/SSB抗体は陰性。診断時年齢:4歳(2-13)、追跡期間:5年(1-21)、PMI症例なし。NYHA I 3/II 2名。運動負荷心電図を実施した4症例で1例のみ心拍応答あり。2)検査所見(診断時/直近):CTR53.7%/50.1%、HR54/54bpm、QRS84.2/90.2ms、QTc452/448ms、LVEF70.7/75.2%と観察期間中QRS幅のみ軽度の延長あり。心臓電気生理検査を実施し、全例がAH blockであり心室連続刺激によるfatigue現象を1例に認めた。心拡大を伴った3例はシロスタゾール・利尿剤を開始し、治療後は1日総心拍数やCTRは改善した。【まとめ】房室ブロック5例のQRS幅<100msと短く、LVEFは正常範囲内であり、全例日常生活において症状を自覚していなかった。1例にQT延長合併例があり、現在PMIのタイミングを見計らっている。なお観察期間中全例心イベントなく経過していた。【結語】小児期房室ブロックの中期的な予後は悪くなく、経静脈リードが留置できる体格まで待機が可能かもしれない。ほぼ全例無症候性であり、本人・家族への病識理解が難しいケースも少なくなくPMI介入を悩ませる一因となっている。