[III-OR36-04] 致死性不整脈を伴う小児拘束型心筋症に対する皮下植込み型除細動器(S-ICD)の有用性
Keywords:皮下植込み型除細動器, 不整脈, 拘束型心筋症
【緒言】2016年2月からわが国でも皮下植込み型除細動器(S-ICD)が保険償還され、小児導入例も散見される。今回、小児拘束型心筋症(RCM)に伴う致死性不整脈に対し、S-ICDを導入した症例について文献的考察を交えて報告する。【症例1】9歳男児、運動中に心室細動発症し当院救急搬送されPCPS導入の後BiVAD装着により蘇生。その後VADは離脱しRCMと診断。心停止による低酸素性脳症を合併し、当初は寝たきり状態が予想されたが、精神・身体機能の改善が良好であり活動量が増えたため、再発予防目的にS-ICD植込み実施。植込み時身長130cm体重25kg【症例2】14歳男児、マラソン直後に心肺停止となり搬送先病院にてPCPS導入。横紋筋融解を合併し両下肢離断となる。転院後RCMと診断。神経学的後遺症なく身体活動は非常に良好で、再発予防目的にS-ICD植込みとなる。植込み時身長165cm(下肢離断前)、体重55kg【症例3】22歳男性、10歳時に学校健診で心電図異常を指摘されRCMと診断。階段を昇る際に心室細動を発症。搬送先病院にて蘇生。再発予防目的に経静脈型ICDを導入。導入後4年にsustained VTに対してICD作動あり。その後作動なく、導入後11年でリード感染のためリード抜去しS-ICD植込みとなる。植込み時身長162cm、体重48kg。【考察】小児心筋症症例では、心不全増悪時のアプローチ血管の温存や緊急VAD装着時の外科的アクセスの点からペーシング機能が不要の症例ではS-ICDが選択肢となりうる。またリード感染症例も適応となる。デバイスが大きいことや体表心電図の基準があることが、小児における適応を制限する大きな理由となるが、症例を選べば非常に有用なデバイスとなると考えられた。