[III-P74-02] フォンタン術後遠隔期に菌血症を発症し、心腔内エコーによる人工導管内観察下に導管内血栓掻破を行った症例
キーワード:心腔内エコー, フォンタン, 感染性心内膜炎
【背景】先天性心疾患の診断・カテーテル治療・電気生理学的分野においても心腔内エコー(ICE)の用途は広まりつつある。【症例】8歳女児、房室中隔欠損症・肺動脈閉鎖・総肺静脈還流異常症・右胸心・無脾症。出生後PVOによる肺うっ血が進行し、月齢1にTAPVC修復および右室肺動脈シャント手術、月齢8にBCPS、2歳時にTCPC(EC 16mm)を実施した。術後カテーテル検査では中心静脈圧=12~14mmHgで共通房室弁逆流は1度、大動脈弁逆流は無かった。アスピリン内服による抗血栓療法を行っていた。歯科治療後に菌血症(起因菌:PSSP)を発症し入院した。造影CTで導管内に造影欠損があり、疣贅と考えられ感染性心内膜炎に準じた2か月間の抗菌薬投与とワーファリンによる抗凝固療法を開始した。症状・炎症反応は軽快した一方で、フォローアップの造影CTでは造影欠損が残存していたため、血行動態評価のため心臓カテーテル検査を実施した。中心静脈圧=10mmHgで血栓前後での圧較差はなかった。造影で導管・肺動脈吻合部付近に欠損像を認め周辺で血流停滞があった。ViewFlex ®(St. Jude Medical社)による観察において、内部高輝度エコーでacoustic shadowを伴わない約3.5×6mmの隆起性病変を認め、血栓を疑った。対側大腿静脈よりBioptomeを挿入し、心腔内エコー観察下に可及的掻破を行った。病理診断では器質化血栓であり、炎症細胞浸潤は伴わなかった。同部位をバルーン拡張(Mustang® 10mm×2)し、血栓像の縮小を認めた。後日残存病変に対する追加治療として同様の手技で血栓掻破を行い、Gekira® 16mmで拡張した。現在ワーファリン内服し経過観察中である。【結語】ICEはフォンタン導管内部の観察に有効である。