[III-P79-02] 経皮的肺動脈絞扼解除術を行った4例
Keywords:バンディング拡大術, debanding, closing VSD
背景:経皮的肺動脈絞扼解除術(PTPDB)の役割は、最終手術適応外症例への姑息治療や術後肺血流調整だけでなく、根治術不要例に対して安定した循環動態を得るための手術の代替治療としての役割も有する。肺動脈絞扼術(PAB)施行後PTPBDを施行し安定した循環動態を得た4例を報告する。症例1:1歳8か月女児。大動脈縮窄症、大動脈弁狭窄(vAS)、筋性部心室中隔欠損症(VSD)。日齢6に大動脈縮窄修復術(COA repair)、PAB(周囲長21mm)を施行した。VSDが縮小したためPTPDBを施行した。Mustang 10mmのダブルバルーン法(248%対banding径, 14気圧)で行い、右室圧/大動脈圧比(Prv/Plv)は0.77から0.64へと低下した。症例2: 9生月男児。診断は大動脈縮窄症、vAS、筋性部VSD。日齢6にCOA repair、PAB(周囲長19mm)を施行した。徐々にVSDが縮小したためPTPDBを行った。Mustang 12mm (203%対banding径)、10気圧で拡張した。狭窄部は径5.3mmから8.4mmへ拡大しPrv/Plv 0.82から0.55へ低下した。症例3: 3生月男児。診断は動脈管開存症、総肺動脈還流異常症(TAPVC)、両側PAB後。出生後当初は両大血管右室起始症、左室低形成、vAS、TAPVCIa型と診断し、同日TAPVC修復術および両側PAB(両側とも周囲長 10mm)を施行した。その後循環評価のため再度心臓カテーテル検査を施行した際に、VSDが縮小したためPTPDBを施行した。Shiden 5mm, 24気圧で両側を拡張し絞扼を解除した。症例4: 3歳男児。診断は修性大血管転位症、VSD、下大静脈欠損、PAB術後。日齢25に高肺血流なりPAB(周囲長23mm)を行った。術後2年経過しチアノーゼが増強したため安定した循環動態を得るためにPTPDBを選択した。Mustang 10mm (227%対banding径)、12気圧で拡張した。狭窄部は径5.5mmへ拡大し、体肺血流比は0.68から1.6へ上昇した。結論: 根治術不要例や根治術の侵襲度が高く合併症の危険のある例に対してPTPDBは手術よりも侵襲度が低く、より安定した循環動態を得ることができた。