[III-P79-04] カテーテル治療に用いるデバイスに求められること
Keywords:カテーテル治療, デバイス, 生体吸収性素材
カテーテル治療の主たる目的として1. デバイスを用いた動脈管開存PDAや心房中隔欠損ASDに対する閉鎖術即ちカテーテル治療のみで根治性が得られる、2. 側副血管に対するコイル閉鎖術、心房中隔裂開術など手術との組み合わせで行う、3. 心臓術後の遺残短絡、遺残病変に対する治療などが挙げられる。1. の多くは、手技料や保険償還価格が定められている。安定した治療成績は認められるものの、PDAやASDの形態次第では治療困難例が見られるという点では、外科治療に劣る。2005年開始時から2018年まで累計11,000例のASD症例に対してカテーテル治療が施行され,大動脈への浸食14例,脱落32例報告されている。周囲の組織や血管により圧迫が少ない、デタッチ後でも回収可能なデバイスなど多種のデバイスが国外で使用されている。今後も素材の改良に加え、デリバリーシステムの改善、デタッチ後でも回収可能な安全機構が求められる。2.に該当する手技の一部は、算定可能なものの、ASDやPDAへのステント留置など多くは目的外使用となっている。バルーン拡張型ステント、自己拡張型ステントなど、血管径、病変部の長さによって多岐にわたるステントが用いられている。特に新生児例では、ミリ単位での長さの選択が求められる。ステント内狭窄が課題であるが、薬剤溶出性ステントDESなどにより、成績の改善が見られ、難治症例に対して、救命可能になってきている。今後、生体吸収性素材、長さの微調整が可能、外科手術の際に摘出しやすい素材に関する開発が待たれる。外科手術への橋渡し治療bridging therapyとして、欠かせない役割を担っていくと考えられる。3. に関しては、欧米、アジアで多種のデバイスによる肺動脈、肺動脈弁、三尖弁に対する留置術が行われている。本邦でも弁機能を有するバルーン拡張型ステントや肺動脈ステントの承認が待たれる。