[III-P82-01] 成人期の房室中隔欠損症に対する外科治療経験
キーワード:房室中隔欠損症, 成人先天性心疾患, 外科治療
(背景)現在、成人期に開心術が必要となる先天性心疾患の症例は、増加傾向である。成人期の房室中隔欠損症(AVSD)に対する外科治療は、不完全型AVSDに対する初回手術、完全型および不完全型AVSDの房室弁逆流に対する再手術、感染性心内膜炎を合併した症例に対する手術が挙げられる。AVSDの特徴として、共通房室弁輪、左室流出路狭窄、刺激伝導路の変位があり、手術に際してはその理解が重要である。今回我々は過去10年間に経験した成人AVSD6症例、7回の外科治療に関して検討したので報告する。(方法)症例は男性2例、女性4例で、手術時年齢は19-67歳であった。完全型AVSDは1例で、他はすべて不完全型AVSDであった。手術は先天性心疾患チームと成人のチームが合同で施行した。完全型AVSDの1例は、1か月時に肺動脈絞扼術を施行後、2歳時にtwo patch法による根治術が施行された。左側房室弁逆流で32歳時左側房室弁置換を、挙児希望のため生体弁で施行後、8年後に再弁置換が施行された。不完全型AVSDは、初回手術症例が2例でパッチ閉鎖と左側房室弁形成が施行された。再手術症例が2例で、左側房室弁逆流のため左側房室弁形成が施行された。再々手術症例が1例で左側人工弁置換術後の感染性心内膜炎のため、左側房室弁の再弁置換が施行された。(結果)手術死亡、遠隔期死亡はない。手術後の新たなペースメーカ移植もない。術後2-9年経過しており、すべての症例はNYHA分類1である。弁形成の症例は4例で、術後遠隔期で軽度狭窄が2例で、軽度の弁逆流が1例である。再手術の症例が狭窄となる傾向であった。(結語)成人期の房室中隔欠損症の外科治療の成績は良好であった。手術に際しては、先天性と成人のチームが合同で行う事が有用であると思われた。