[III-P84-05] 多彩な症状を呈した高安動脈炎の小児2例
Keywords:高安動脈炎, 拡張型心筋症, ITP
【背景】高安動脈炎(TA)は20-40代の若年女性に多く発症し、小児や乳幼児での発症はまれである。小児例では非特異的な症状が多く、血液検査で特異的な所見はないため、診断が遅れることがある。【目的】確定診断までに経過を要したTAの小児2例を提示し、小児TAの早期診断を啓発すること。【症例1】生後11ヶ月男児。発熱と体重減少、心雑音を主訴に来院。心胸比58 %、心エコーで左室拡大(左室拡張末期径32 mm (130 % of normal))、左室収縮能の低下(駆出率48 %)を認め、拡張型心筋症と診断した。治療開始後も発熱、高血圧 (収縮期血圧120-130 mmHg)が続き、第4病日に大動脈瘤、腎動脈狭窄を認めTAと診断した。治療には抗炎症にプレドニゾロンと血管狭窄病変に対してlipo prostaglandin E1の投与、腎動脈狭窄には経皮的血管形成術を実施した。【症例2】9歳女児。両下肢の紫斑、血小板減少(11000 /μL)を主訴に来院。免疫性血小板減少性紫斑病とし、免疫グロブリンを投与した。一方、初診時から腹部聴診で血管雑音を聴取していたため、第3病日に腹部エコーを施行した。腹部大動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈の狭窄所見を認め、上下肢の血圧差(収縮期血圧:上肢119 mmHg、下肢61 mmHg)がみられた。その後の病歴聴取で、半年以上前から跛行症状があったことが判明した。血沈 (45 mm/h)、CRP (0.66 mg/dL)の軽度上昇とpositron emission tomographyにて上行大動脈に集積を認め、活動性TAと診断した。治療としてプレドニゾロンを開始した。【結論】他疾患として治療を行い、TAの診断に至るまで経過を要した小児2例を提示した。小児TAはまれで、非特異的な臨床症状を示し、診断に苦慮することがある。希少な疾患であるが、常に鑑別として考えておく必要がある。