[III-P85-03] 虚血性心筋症を併発した血栓閉鎖左冠動脈瘤に対して冠動脈バイパス術および僧帽弁弁輪縫縮術を施行した1例
Keywords:冠動脈瘤, 虚血性心筋症, CABG
冠動脈瘤の発生原因として,川崎病に代表される炎症性疾患やマルファン症候群などの結合織疾患が有名であるが,先天性が原因である場合も少なくない.今回,血栓閉鎖左冠動脈瘤に伴う虚血性心筋症により心不全を契機に発見され,冠動脈バイパス術 (CABG), 僧帽弁弁輪縫縮術 (MAP)を施行した症例を一例経験した.
症例は6歳,女児,全身浮腫を主訴に受診.川崎病などの炎症性疾患や感染症の既往はなく,結合織疾患の家族歴もなし.精査の結果,血栓閉鎖左冠動脈瘤に伴う虚血性心筋症および僧帽弁閉鎖不全症 (moderate)と診断された.コアテック,ラシックス静注による心不全コントロールを行った後,CABG (LITA-LAD) + MAPを施行した.術直後から再灌流による影響と思われる心室性不整脈のコントロールに難渋したが,術後4日目に抜管,術後15日目にICU退室した.術後5年後の心臓カテーテル検査でもLITA-LAD flow良好,MR mild, 胸部レントゲン写真でもCTRの縮小を得られている.
小児CABGの遠隔期成績は良好であり,冠動脈病変に対する標準術式として確立した物である.小児心臓外科医がCABGを行う機会はそれほど多くはないが,動脈スイッチを行う際のトラブルシューティングなどにも応用可能な手技であり,日々のトレーニングが必要であることは間違いない.
症例は6歳,女児,全身浮腫を主訴に受診.川崎病などの炎症性疾患や感染症の既往はなく,結合織疾患の家族歴もなし.精査の結果,血栓閉鎖左冠動脈瘤に伴う虚血性心筋症および僧帽弁閉鎖不全症 (moderate)と診断された.コアテック,ラシックス静注による心不全コントロールを行った後,CABG (LITA-LAD) + MAPを施行した.術直後から再灌流による影響と思われる心室性不整脈のコントロールに難渋したが,術後4日目に抜管,術後15日目にICU退室した.術後5年後の心臓カテーテル検査でもLITA-LAD flow良好,MR mild, 胸部レントゲン写真でもCTRの縮小を得られている.
小児CABGの遠隔期成績は良好であり,冠動脈病変に対する標準術式として確立した物である.小児心臓外科医がCABGを行う機会はそれほど多くはないが,動脈スイッチを行う際のトラブルシューティングなどにも応用可能な手技であり,日々のトレーニングが必要であることは間違いない.