[III-P85-05] 新生児期から乳児期に診断された冠動脈瘻4症例の検討
Keywords:冠動脈瘻, 乳児期, 自然閉鎖
【背景】冠動脈瘻(coronary artery fistula:CAF)は冠動脈が瘻の血管を介して, 直接心または大血管腔に開いている病態で, 先天性心疾患の約0.3%を占める比較的稀な疾患である. 小さな瘻血管は経過観察をされることが多く, 瘻血管のサイズに応じて治療適応が検討される. 【症例】<症例1>月齢1の男児. 1か月健診で心雑音を指摘され, 心エコーで右冠動脈(RCA) segment 1~2に5 mmの拡大と, 右室枝レベルで右冠動脈右室瘻を認めた. 乳児期に心不全症状を呈したためコイル塞栓術を検討したが, 右室への開口部とRCA segment 3の距離が短く困難と考えられ, 外科手術の方針で他院に紹介した. <症例2>月齢1の男児. 1か月健診で心雑音を指摘され当科受診した.多呼吸, 軽度陥没呼吸があり, 心エコーでRCA segment 1に5 mmの拡大と,右室枝より遠位側で右冠動脈右室瘻を認めた. 自然閉鎖傾向になく, 1歳時に他院でコイル塞栓術を施行された. <症例3>日齢4の女児. 心雑音を指摘され, 心エコーで左冠動脈segment 5の軽度拡大と, 2か所に開口する左冠動脈右室瘻を認めた. 心不全徴候なく経過し, 1歳時に自然閉鎖を確認した. <症例4>日齢4の男児. 新生児一過性多呼吸のため入院中に, 心エコーで右冠動脈右室瘻を認めた. 心不全徴候なく経過し, 月齢1の時点で短絡量は減少し, 月齢2に自然閉鎖を確認した.【考察・結語】4例のうち2例がCAFに対する治療介入を要し, 他の2例は治療介入せず経過観察中に自然閉鎖を認めた. 治療介入を要した症例と自然閉鎖を認めた症例について比較検討し, 文献的考察も交えて報告する.