[III-P86-03] 血漿交換療法を要した左心低形成フォンタン術後の難治性川崎病例
Keywords:難治性川崎病, フォンタン術後, 血漿交換療法
【緒言】川崎病で血漿交換療法を要する難治例は比較的少ない。左心低形成フォンタン術後の川崎病に対して、大量ガンマグロブリン療法およびステロイドパルス療法に不応のため血漿交換療法(PE)を施行し、周術期合併症や冠動脈後遺症なく治癒した症例を経験した。
【症例】左心低形成症候群に対し3歳時にフォンタン手術を施行された5歳男児。頸部痛と発熱が出現し、発熱2日目(川崎病第2病日)に当院へ入院した。入院時は川崎病主要診断項目2項目のみ陽性であり抗生剤加療を開始した。第4病日に川崎病と診断し、大量ガンマグロブリン療法(IVIG)を施行した。初回IVIGは不応であり、第6病日より追加IVIGを、第7病日にもIVIGを施行したが不応のため、第9病日よりステロイドパルス療法を施行した。ステロイドパルス療法後には37.5℃未満に解熱するも、CRP 2mg/dl前後で遷延し、かつ活気不良と倦怠感が強く残存した。第13病日にアスピリンを中止したところ、第14病日に再発熱したため同日よりPEを導入した。第15病日から著しい活気の改善が得られ、計5日間の施行でCRPは0.3mg/dlまで低下し、その後に正常化した。フォンタン術後であったが、PE施行時間の調整や利尿剤を併用した水分管理により循環不全は認めなかった。第25病日(PE終了7日後)に後遺症なく退院した。
【考察】自験例では、微熱に加え遷延するCRPを認めたが、アスピリンにより体温上昇がmaskされていたと考えられる。またPE後の速やかな状態改善も、潜在的な血管炎の残存を支持する経過であった。フォンタン術後でも、PE施行時間の調整や利尿剤により循環動態に変動を来たさなかった。重症先天性心疾患術後でも、難治性川崎病では積極的なPE導入が望ましいと考えられ、かつ比較的安全に施行できる。
【症例】左心低形成症候群に対し3歳時にフォンタン手術を施行された5歳男児。頸部痛と発熱が出現し、発熱2日目(川崎病第2病日)に当院へ入院した。入院時は川崎病主要診断項目2項目のみ陽性であり抗生剤加療を開始した。第4病日に川崎病と診断し、大量ガンマグロブリン療法(IVIG)を施行した。初回IVIGは不応であり、第6病日より追加IVIGを、第7病日にもIVIGを施行したが不応のため、第9病日よりステロイドパルス療法を施行した。ステロイドパルス療法後には37.5℃未満に解熱するも、CRP 2mg/dl前後で遷延し、かつ活気不良と倦怠感が強く残存した。第13病日にアスピリンを中止したところ、第14病日に再発熱したため同日よりPEを導入した。第15病日から著しい活気の改善が得られ、計5日間の施行でCRPは0.3mg/dlまで低下し、その後に正常化した。フォンタン術後であったが、PE施行時間の調整や利尿剤を併用した水分管理により循環不全は認めなかった。第25病日(PE終了7日後)に後遺症なく退院した。
【考察】自験例では、微熱に加え遷延するCRPを認めたが、アスピリンにより体温上昇がmaskされていたと考えられる。またPE後の速やかな状態改善も、潜在的な血管炎の残存を支持する経過であった。フォンタン術後でも、PE施行時間の調整や利尿剤により循環動態に変動を来たさなかった。重症先天性心疾患術後でも、難治性川崎病では積極的なPE導入が望ましいと考えられ、かつ比較的安全に施行できる。