第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション86(III-P86)
川崎病・冠動脈・血管 8

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:長井 典子(岡崎市民病院 小児科)

[III-P86-04] 川崎病治療経過中に皮疹の増悪をきたしGianotti-Crosti症候群の合併と診断した2例

石井 桃1, 関 満1, 安済 達也1, 古井 貞浩1, 岡 健介1, 松原 大輔1, 佐藤 智幸1, 片岡 功一1, 宮本 健志2, 山形 崇倫1 (1.自治医科大学 とちぎ子ども医療センター 小児科, 2.獨協医科大学病院 とちぎ子ども医療センター)

Keywords:川崎病, 皮膚生検, Gianotti症候群

【背景】難治性川崎病の治療では皮疹の増悪が原疾患によるものかどうかの判断が困難な症例に遭遇する。Gianotti-Crosti 症候群(GCS)は主にウイルス感染症に合併して四肢や顔面に皮疹を認める疾患である。ガンマグロブリン大量療法(IVIG)不応の川崎病治療中に皮疹の増悪を認め、皮膚生検からGCSと診断した2例を経験した。【症例1】2歳女児。川崎病第3病日にIVIG+ASAで治療開始、第5病日に2回目のIVIGを施行するも再燃し、第10病日にInfliximabを追加した。同時期より両側頬部、左前腕に掻痒を伴う紅色丘疹が出現し、体幹部へ拡大した。Kaposi水痘様発疹症を疑い第22病日から抗ウイルス薬による治療を開始したが症状改善なかった。GCSを疑い、ステロイド軟膏塗布により皮疹の痂皮化と消退を認めた。皮膚生検では血管周囲に炎症細胞浸潤を伴う表層性皮膚炎の所見であった。血清学的に明らかな原因ウイルスは検出されなかったが、臨床経過、皮膚生検結果からGCSと診断した。【症例2】2歳男児。川崎病第5病日からIVIG+ASA、第7病日にIVIG+PSL(2mg/kg/day)を追加し川崎病症状は消失したが、PSL減量中に再燃し、第25病日からCsA持続静注 (3mg/kg/day)を開始した。症状は改善傾向だが顔面、体幹、四肢の皮疹のみ増悪し、川崎病以外の要因による皮膚病変が考えられた。CsAは皮疹に対して無効と判断、第38病日に皮膚生検の上、PSL内服に変更し徐々に皮疹は改善した。生検では血管周囲に炎症細胞浸潤を伴う表層性皮膚炎であり、臨床経過も併せてGCSと診断した。【考察】川崎病ではウイルス感染を含めた何らかの誘引を契機とした高サイトカイン血症が生じており、一方、GCSもウイルス感染による免疫活性化が関与している。川崎病においては免疫応答の異常からGCSを合併しうると考えられた。川崎病治療中に皮疹増悪した場合、原疾患再燃と他の皮膚併発症との鑑別に難渋することがあり、皮膚生検は診断に有用であった。