第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション86(III-P86)
川崎病・冠動脈・血管 8

2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:長井 典子(岡崎市民病院 小児科)

[III-P86-05] 川崎病に5回罹患した7歳女児例

川村 陽一1,2, 金井 貴志2, 大澤 麻登里2, 武 純也2, 竹下 誠一郎3, 野々山 恵章2 (1.自衛隊中央病院 小児科, 2.防衛医科大学校 小児科, 3.防衛医科大学校 看護学科)

キーワード:川崎病, 頻回再発, 冠動脈病変

【緒言】川崎病全国調査によれば、川崎病の再発例は3~4%であるが、3回以上の頻回再発例に関しては0.3%と非常に稀である。我々は、1歳から7歳までの間に川崎病に5回罹患した女児例を経験したので報告する。【症例】7歳女児。1歳3か月時に川崎病に初回罹患し、それ以降、5歳8か月までに計4回の罹患歴があるが、いずれのエピソードでも冠動脈病変の合併は認めていない。今回は発熱、咽頭痛を主訴に近医を受診し、上気道炎と診断されたが症状は軽快しなかった。その後、発熱4日目に近医を再診した際、血液検査で炎症反応が高値を示した他、川崎病の主要症状5項目を満たし、再発と診断された。入院当初はアスピリン、ウリナスタチン、免疫グロブリンの治療に反応せず発熱が遷延したものの、免疫グロブリンの追加投与を行った結果、解熱し、その他の主要症状も消失して膜様落屑を確認できた。冠動脈病変を認めることなく経過し、第20病日に軽快退院した。【考察】第24回川崎病全国調査によれば、再発の頻度は4.2%(男4.4%、女4.0%)と報告されている。一方で、2回以上の再発例、すなわち3回以上の罹患例は0.3%(第14回川崎病全国調査)とさらに少ない。検索しえた範囲内では、4~6回の罹患例がそれぞれ13例、2例、1例報告されているのみで、女児例は4回罹患の2例のみであった。治療反応例および抵抗例のいずれも含まれていたが、冠動脈瘤を形成したのは1例のみであった。予防接種との関連や発症の季節性を示唆した報告もあったが、一定の傾向は見られなかった。【結語】川崎病5回罹患の1女児例を経験した。5回罹患の女児例は報告がなく、最多罹患例と考えられる。ただし、頻回再発が必ずしも冠動脈病変の発症には関与していないことが示唆された。今後の検討課題として、発症に関連した微生物や頻回再発に関連した遺伝子の同定が重要と思われた。