第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション87(III-P87)
川崎病・冠動脈・血管 9

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:関 満(自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科)

[III-P87-04] 血漿交換療法が有効であった可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症(MERS)を合併した川崎病の1例

小寺 亜矢1, 北田 邦美1, 山下 定儀1, 荒木 徹1, 荻野 佳代2, 脇 研自2 (1.福山医療センター 小児科, 2.倉敷中央病院 小児科)

Keywords:川崎病, 血漿交換療法, MERS

【背景】川崎病に可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症(MERS)を合併した報告には、3rd line以上の治療症例も少なくないが、血漿交換療法を施行した症例は確認できなかった。【症例】2歳男児、咳、鼻汁に続き、川崎病主要症状6項目、黄疸、せん妄を認め、第6病日に紹介、川崎病と診断。血液検査でBNP277pg/ml、心臓超音波検査で左冠動脈主幹部(LMT)3.2mm(+2.73SD)と拡大、左室駆出率(LVEF)87.3%、左室拡大・心嚢液貯留なし。免疫グロブリン(IVIG)2g/kg投与も解熱せず、せん妄が12時間以上断続し、頭部MRI拡散強調画像で脳梁膨大部に高信号を認め、MERS合併と判断。IVIG2g/kg追加、ウリナスタチン投与も改善なく、第8病日よりメチルプレドニゾロン大量療法開始。せん妄は軽減したが解熱せず、BNP1057pg/mlと上昇。LMT不変、LVEF63%、左室拡大・心嚢液貯留あり。インフリキシマブ(IFX)使用困難と判断し、血漿交換療法(PE)目的に他施設へ転院、PE5日間+IVIG2g/kg2回投与し、症状は徐々に改善、第19病日に解熱。冠動脈拡大増悪や神経学的後遺症なく、MRIで高信号の消失を確認し、第28病日に退院。入院時のウイルス分離でヒトメタニューモウイルスが検出された。【考察】MERS合併川崎病は、非合併よりサイトカイン高値、急性心筋炎・冠動脈病変(CAL)合併高率との報告があり、血管炎自体の重症度も高い可能性が示唆されている。症例報告10例中、心機能低下・心筋炎を合併した2例は3rd line以上の治療は不要であったがCALを認め、3rd line以上の治療を要した3例中1例でCALを認めた。本症例はCAL高リスクであったと考えられるが、発症後2か月でCALは退縮した。【結語】MERS合併川崎病で難治な場合、血漿交換療法は有効な治療と考えられた。