[III-P91-05] 乳児期早期のVSD閉鎖術における三尖弁形成術の効果
Keywords:VSD, 三尖弁形成, 乳児期早期
【目的】VSD閉鎖術は縫合線に三尖弁輪を使うため三尖弁形成を併施する事も多いが、その効果報告は少ない。今回当施設で乳児期早期のVSD閉鎖術に三尖弁形成を併施した症例の効果を検討した。【対象と方法】乳児期早期のVSD症例35例(Down症10例)。体重3±1kg、VSD形態は肺動脈弁下型4例、膜様部型は伸展方向によりoutlet 11例、trabecular 7例、inlet 11例、totalconus defect 2例。三尖弁形成は正常弁輪径の80%までの弁口面積を許容とし交連部弁尖形成を施行。UCGでTRはnone:0、trivial:1、mild:2、moderate:3、severe:4とし、TSは三尖弁流入速度で評価。測定時期は術前、術後1ヶ月(1m)、6ヶ月(6m)、12ヶ月(12m)、24ヶ月(24m)とし、Down症、VSD形態、体肺血圧比(Pp/Ps)、弁輪径、弁口径、使用した針糸数との関連を検証した。【結果】術後死亡、再手術症例は認めなかった。Pp/Psは術前0.9±0.2、術後0.4±0.1、三尖弁尖には3.7±1.7針、三尖弁輪には3.3±1.5針を要し、術後三尖弁口径は正常弁輪径の87±6%であった。術後TRは1.2±0.7 (6m:1.0±0.5、12m:0.9±0.3、24m:1.1±0.7)、三尖弁流入速度は1.0±0.1m/s (6m:1.0±0.1、12m:1.0±0.1、24m:0.9±0.2)であった。Down症例の術前後Pp/Ps(0.92±0.1/0.48±0.1)、TR(1.4±0.8/1.1±0.7)に比し、非Down症例ではPp/Ps(0.77±0.2/0.42±0.1)、TR(1.2±0.7/1.0±0.8)であった。VSD形態別の術後TR/TSは肺動脈弁下:0.8±0.3/0.97±0.06、outlet:1.4±0.9/0.98±0.1、trabecular:1.2±0.7/1.0±0.1、inlet:1.0±0.6/0.97±0.07であった。術後TSは認めなかった。術後TRはmild以上の症例(9例)では弁尖/弁輪の針糸は2.8±1.2/3.7±0.7、それ以外(26例)は4±1.8/3.1±1.6であった。【結語】VSD閉鎖時の弁尖、弁輪への針糸数が弁逆流に影響を与えうるが、正常弁輪径80%までの弁口縮小では流入制限しない事が示唆された。術後TRはPp/Ps及びoutlet伸展型に影響を受ける事が示唆された。