[III-P91-04] PAIVS, Ebstein's anomalyに対するone and a half ventricle repair後の重度三尖弁逆流に対して自己心膜による弁尖延長を用いた三尖弁形成が奏功した一例
Keywords:Ebstein's anomaly, tricuspid valve plasty, patch augmentation
症例は5歳,純型肺動脈閉鎖,エプスタイン奇形の男児.日齢11にpulmonary valvotomy,2歳時にone and a half ventricle repairを施行した.三尖弁中隔尖のplastering及び重度の三尖弁逆流(TR)を認めていたが弁尖の脆弱性を危惧し弁形成を回避した.以後の経過は問題ないがsevere TRは持続していた.
その後TRに伴う右心負荷が増強.5歳時に施行した心臓カテーテル検査で右室圧収縮期圧33mmHg,拡張末期圧15mmHgと右室圧上昇を認めた.将来的な不整脈や右心不全発症を危惧し再手術適応とした.
手術は三尖弁形成,肺動脈形成,右室肺動脈導管交換を施行した.三尖弁前後尖は性状,可動性共に良好だが中隔尖は心尖部側に偏位し弁腹の半分がplasteringしていた.中隔尖は弁輪付着部で約25mm程度の長さで各弁尖のgeometric heightはそれぞれ前尖:13mm,後尖:10mm,中隔尖:6mmと中隔尖のみ短かった.まず中隔尖の弁輪付着部付近で長さ約21mmの切開を加え弁下のplasteringを可及的に剥離.その上で30×20mm大のglutaraldehyde処理自己心膜を同部に補填する様に縫着した.弁尖の中央での接合を深くするため幅3.5mmの0.4mm PTFE stripを前尖-中隔尖弁輪の中央を渡す様に縫着し三尖弁の前後径を20mm程度に縫縮した.大動脈遮断時間は2時間4分であった.経食道心エコーでは三尖弁逆流はごく僅かで,その後の経過でも弁逆流を軽度認めるのみであった.
エプスタイン奇形に対する三尖弁形成はCarpentier手術やcone reconstructionなどが用いられ,拡張した右房化右室及び弁輪部を縫縮しながら施行する.本症例の様にone and a half ventricle repair後には元々弁輪径が小さい上に,後に人工弁置換が必要となる場合にはそのサイズが非常に大きな問題となり得る.本法は比較的簡便に行えることに加え弁輪サイズを基本的には変えないため上述の問題も解消できる.また可動性の良い前尖も温存できるため長期予後も期待できると考えている.
その後TRに伴う右心負荷が増強.5歳時に施行した心臓カテーテル検査で右室圧収縮期圧33mmHg,拡張末期圧15mmHgと右室圧上昇を認めた.将来的な不整脈や右心不全発症を危惧し再手術適応とした.
手術は三尖弁形成,肺動脈形成,右室肺動脈導管交換を施行した.三尖弁前後尖は性状,可動性共に良好だが中隔尖は心尖部側に偏位し弁腹の半分がplasteringしていた.中隔尖は弁輪付着部で約25mm程度の長さで各弁尖のgeometric heightはそれぞれ前尖:13mm,後尖:10mm,中隔尖:6mmと中隔尖のみ短かった.まず中隔尖の弁輪付着部付近で長さ約21mmの切開を加え弁下のplasteringを可及的に剥離.その上で30×20mm大のglutaraldehyde処理自己心膜を同部に補填する様に縫着した.弁尖の中央での接合を深くするため幅3.5mmの0.4mm PTFE stripを前尖-中隔尖弁輪の中央を渡す様に縫着し三尖弁の前後径を20mm程度に縫縮した.大動脈遮断時間は2時間4分であった.経食道心エコーでは三尖弁逆流はごく僅かで,その後の経過でも弁逆流を軽度認めるのみであった.
エプスタイン奇形に対する三尖弁形成はCarpentier手術やcone reconstructionなどが用いられ,拡張した右房化右室及び弁輪部を縫縮しながら施行する.本症例の様にone and a half ventricle repair後には元々弁輪径が小さい上に,後に人工弁置換が必要となる場合にはそのサイズが非常に大きな問題となり得る.本法は比較的簡便に行えることに加え弁輪サイズを基本的には変えないため上述の問題も解消できる.また可動性の良い前尖も温存できるため長期予後も期待できると考えている.