第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

肺循環・肺高血圧

ポスターセッション94(III-P94)
肺循環・肺高血圧 8

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院 CCU)

[III-P94-03] エポプロステノール持続静注からselexipag内服への切り替えが可能であった気管低形成に伴う肺高血圧症の男児例

原 卓也, 竹本 竜一, 児玉 浩幸, 大野 拓郎 (大分県立病院)

Keywords:肺高血圧症, selexipag, 移行

【背景】プロスタサイクリン製剤はその不安定性から投与経路が制限され、epoprostenol (EPO) 持続静注やtreprostinil持続皮下注などが推奨されてきたが、GRIPHON studyにおいて経口IP受容体選択的作動薬であるselexipagの有用性が示され、selexipag内服へ移行する報告も散見されるようになってきた。一方、小児例における使用報告は少ない。【症例】症例は8歳男児。在胎34週、896gで双胎第2子として出生。8か月時にRSウィルス感染症に罹患した後よりチアノーゼや哺乳低下が出現し、心エコーでpulmonary arterial hypertension (PAH) を指摘された。心臓カテーテル検査では、PAp 101/40mmHg, Pp/Ps 1.12, Rp 13.1Wood単位とoversystemic PAHの状態であった。肺生検では肺小動脈中膜の肥厚が高度であり、また気管支の高度低形成を認め、PAHの原因と考えられた。肺生検翌日にPH crisisを発症、肺血管拡張治療を含む集中治療を行い病状は改善したが、その後も啼泣やNOボンベ交換に伴って失神を繰り返した。NO離脱が困難であったため、EPO持続静注を開始したところ、失神の頻度が減少し、NO中止が可能となった。EPOは最終的に50ng/kg/minまで増量し、推定右室圧55mmHg程度で経過した。PDE5 inhibitor、ERAも併用し、徐々にTR-PGの改善を認めたため、以後は体重増加に伴ってEPOを漸減した。8歳時にSelexipagへの移行を検討し、心臓カテーテル検査を施行。PAp 32/13mmHg、Pp/Ps 0.21、Rp 1.48Wood単位と十分に低下しており、selexipagへの切り替えが可能と判断した。EPO 10ng/kg/minまで減量した時点でselexipagを導入、その後EPOの減量に合わせ、最終的に1.6mg/日までselexipagを増量しEPOを中止した。終了後も推定RVp 35mmHgと明らかなPAHの悪化はなく、有害事象も認めなかった。Selexipagを併用しEPO持続静注から、経口による肺血管拡張薬への移行が可能であった。