[III-P97-03] Fontan術後拡張障害を簡便に予測し得ること可能か?
Keywords:Fontan, 拡張能, Pulse Doppler
【背景】Fontan術後の簡便な拡張能評価法は確立されていない。【目的】房室弁流入波形による拡張能評価(Pulse Doppler法)が、Fontan循環でも有用か検討する。【方法】Fontan術後評価カテーテル検査を行った68例;房室弁血流波形(拡張早期波;E(cm/s)、心房収縮期波;A(cm/s)、E波減速時間;Dct(ms))と、肺動脈楔入圧;PCW(mmHg)に関してピアソンの相関係数を用いて検討した。またPCW;10以上を拡張障害と定義、それ以下の群とstudent t検定を用いて比較した。拡張障害を予想するカットオフ値を、ROC解析を用いて求めた。【結果】対象患者の年齢は9.3±5.4歳、術後6.7±5.0年が経過していた。E波(P<0.01)、A波(P=0.03)は各々PCWと相関し、PCWが高値であるほど流速は速かった。Dctは有意な相関を示さなかった。術後年数が経つほどPCWは高くなる傾向が見られた(P=0.056)。E;74.7±18.9 vs 104.5±22.0(P<0.01)、A;65.7±20.7 vs 88.1±30.3(P<0.01)と、PCW;10以上の群が有意に高値を示した。Dctは2群間で有意差はなかった。ROC曲線ではE;95.3、A;96.3が各々特異度89%、94%でPCW高値を示すカットオフ値として示された。【考察】正常心では拡張障害時E波減高、A波増高がまず見られ、進行するとE波が再度増高しDct短縮が見られる。今回術後年数が経つと共にPCWは高値を示す傾向が見られ、拡張障害が進行することが示された。PCWとE・Aは正の相関を示し、PCW高値群で流速は速い一方で、Dctに関してはいずれも有意でなく、Fontan循環では正常心と異なる変化を示した。【結論】Fontan術後患者においてE・Aの増高は拡張障害を示唆する。