第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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パネルディスカッション

パネルディスカッション7(III-PD07)
明日からできる心血管機能研究

Sat. Jun 29, 2019 1:30 PM - 3:00 PM 第1会場 (特別会議場)

座長:村上 智明(札幌徳洲会病院 小児科)
座長:宗内 淳(九州病院 小児科)

[III-PD07-02] MAPSE, MAPSE Z scoreの左室機能評価での有用性

橋本 郁夫 (富山市民病院)

Keywords:心臓超音波検査, 左室収縮能, 心機能

当施設ではこれまで左室長軸収縮能を僧帽弁輪の心尖部からの偏移をM-mode法にて測定したMitral Annular Plane Systolic Excursion (MAPSE)、および体表面積で標準化したMAPSE Z-value(MAPSE-Z)を左室収縮機能の指標として利用してきた。今回、これらの指標を他の心エコーによる左室収縮機能の評価方法と比較検討した。対象と方法:無作為に抽出した478例(0-23歳、平均5.7歳)を対象とした。M-mode法によるMAPSEの測定に加え、体表面積で標準化したMAPSE-Zを測定した。左室収縮能の測定は左室形態に依存しない方法である3次元心エコー (フィリップス社製EPIQ7)にて得られた駆出率(LVEF)を左室収縮能の指標とし用いた。また、他の収縮能の評価方法として左室内径短縮率(LVFS)、長軸方向ストレイン(LS)、円周方向ストレイン(CS)、ティシュトラッキング法にて得られる僧帽弁輪中心と心尖部の距離の短縮率であるTMAD%、組織ドップラー法で僧帽弁輪外側の速度(S波)を測定し、MAPSE-Zと比較した。また、全症例中70例にBNPを測定し、常用対数変換したLogBNPとこれらの指標を比較した。結果:LVEFとの相関は、MAPE Z (r=0.30, P<0.001)、LS(r=-0.27. P<0.001)、CS (r=-0.16, P<0.005)、TMAD% (r=0.35, P<0.001)、S波 (r=0.12, P<0.05)、LVSF(r=0.12, P<0.05)とTMAD%が最も良好な相関が得られ、MAPSE Zもそれに次ぐ相関が得られた。また、LogBNPとの相関はMAPE Z(r=-0.46, P<0.001)、LS(r=-0.34. P<0.01)、CS (r=-0.31, P<0.05)、TMAD% (r=-0.28, P<0.05)、S波 (r=-0.28, P<0.05)、LVSF(r=0.27, P<0.05)とMAPSE-Zが最も良好な相関が得られた。結語:MAPSE-Zは左室長軸機能に限定した評価法ではあるが、特別な装置を必要とせず、従来用いられている他の方法に比べ左室収縮能をより正確に推定することが可能である。