[III-PD07-03] 心臓カテーテル検査による運動時血行動態シミュレーション~Fontan循環と二室循環の心房ペーシング時心拍出量の比較
Keywords:Fontan循環, 運動耐容能, CPX
【目的】Fontan術後患者の運動耐容能低下の一因として心拍応答不良が知られる一方、頻拍による血圧低下も生じるため、Fontan術後患者の運動中至適心拍数は定かではない。Fontan循環における心拍数増加による心拍出量変化(心拍数増加シミュレーション)を検討した。
【方法】Fontan術後患者8例(F群)を対象とし、心臓カテーテル検査中の安静時と心房ペーシング時(骨格筋や呼吸運動の影響のない状態)の心拍出量をFick法で算出し、二心室患者5例(対照群)と比較した。ペーシングレートは160ppmを基本とした。またF群8例中7例で心肺運動負荷試験(CPX)(Ramp法)による運動耐容能に関しても比較検討した。
【結果】検査時年齢はF群で9.2(8.3-10.6)歳、対照群で4.2(1.0-6.4)歳で、F群はFontan術後6.0(5.1-7.2)年であった。F群の心カテ結果は心係数 4.19(3.01-5.43)L/min/m2、CVP 10(8-14)mmHg、収縮期体血圧109(101-125)mmHgであった。対照群と比較し心係数(p=0.55)と収縮期体血圧(p=0.77)に有意差はなかったが、CVPはF群で有意に高値だった(p=0.0003)。対照群ではペーシングにより心係数が4.45(3.38-5.13)→7.00(4.05-12.38)L/min/m2と増加傾向であったのに対して(p=0.08)、F群ではペーシング時心係数3.36(1.73-5.10)L/min/m2と低下傾向であった(p=0.14)。CPX結果はPeak VO2 31.6(22.2-38.1)mL/min/kg、最大HR 158(134-179)bpm、ΔHR 67(39-84)bpmであった。安静時心係数とPeak VO2は関連がなかったが(R2=0.017)、ペーシング時心係数とPeak VO2は有意に正相関していた(R2=0.66)。
【考察】心拍数増加シミュレーションにより二心室循環では心拍出量増加が生じたのに対してFontan循環では心拍出量は低下した。心拍数増加シミュレーションはFontan循環自体のインピーダンス増加を反映する有効な方法と考え、運動中至適心拍数の個別化が必要と考えた。
【方法】Fontan術後患者8例(F群)を対象とし、心臓カテーテル検査中の安静時と心房ペーシング時(骨格筋や呼吸運動の影響のない状態)の心拍出量をFick法で算出し、二心室患者5例(対照群)と比較した。ペーシングレートは160ppmを基本とした。またF群8例中7例で心肺運動負荷試験(CPX)(Ramp法)による運動耐容能に関しても比較検討した。
【結果】検査時年齢はF群で9.2(8.3-10.6)歳、対照群で4.2(1.0-6.4)歳で、F群はFontan術後6.0(5.1-7.2)年であった。F群の心カテ結果は心係数 4.19(3.01-5.43)L/min/m2、CVP 10(8-14)mmHg、収縮期体血圧109(101-125)mmHgであった。対照群と比較し心係数(p=0.55)と収縮期体血圧(p=0.77)に有意差はなかったが、CVPはF群で有意に高値だった(p=0.0003)。対照群ではペーシングにより心係数が4.45(3.38-5.13)→7.00(4.05-12.38)L/min/m2と増加傾向であったのに対して(p=0.08)、F群ではペーシング時心係数3.36(1.73-5.10)L/min/m2と低下傾向であった(p=0.14)。CPX結果はPeak VO2 31.6(22.2-38.1)mL/min/kg、最大HR 158(134-179)bpm、ΔHR 67(39-84)bpmであった。安静時心係数とPeak VO2は関連がなかったが(R2=0.017)、ペーシング時心係数とPeak VO2は有意に正相関していた(R2=0.66)。
【考察】心拍数増加シミュレーションにより二心室循環では心拍出量増加が生じたのに対してFontan循環では心拍出量は低下した。心拍数増加シミュレーションはFontan循環自体のインピーダンス増加を反映する有効な方法と考え、運動中至適心拍数の個別化が必要と考えた。