[III-TRO04-04] CCUにおける絵本朗読による子ども・家族支援とその影響ーNVivoによるインタビューの質的解析ー
Keywords:発達支援, 親役割, 絵本
【背景】先天性心疾患の子ども(以下児)の親(以下親)への支援として、司書は根拠に基づく適切な医学情報を提供している。また長期にわたりCCU入院を余儀なくされる児に対し、発達支援の視点からの介入の重要性を感じ、2015年より0歳児向き絵本の朗読を行ってきた。すると児と親にポジティブな変化がみられた。【目的】継続的な絵本朗読による児・家族への影響を明らかにする。【方法】同意を得た親6人を対象にインタビュー調査を行い、結果を質的に分析した。プライバシーに配慮した個室で実施し、録音をデータ化し、分析にはNVivoを使用した。本研究は当院倫理委員会の審査を受けた。【結果】インタビュー結果をA[医療ケア]B[児の様子]C[環境]D[絵本]E[親役割]の5つのカテゴリーに分け、NVivoを使い視覚的に分析した。Aにはネガティブな単語が多くDは「癒やされた」等ポジティブだった。CEは経過とともにポジティブに変化していった。「母親らしい事が出来ているっていう自信につながる」等、親役割の獲得に絵本朗読が寄与し、自己肯定感が高まり、親の気持ちが落ち着く効果がみられた。朗読は生後2か月から可能であり、月齢があがるにつれ、絵本に視線が集中し表情が出るなど児の発達が確認された。予後不良の転帰が2例あったが、絵本朗読はわが子との記憶として肯定されていた。【考察】CCUという特殊な環境での絵本朗読は、親役割の獲得・自己肯定・子育て支援に寄与し、ポジティブな変化をもたらす結果となった。「絵本朗読により子の心理社会的能力が向上し、親子関係も良好になる」というエビデンスを踏まえると、退院後の子育て支援につながる可能性が示唆される。