[III-TRO04-05] 先天性心疾患患児における離乳食開始についての実態調査
Keywords:先天性心疾患患児, 離乳食開始, 手術部位感染
【背景】先天性心疾患患児が入院するA病棟では、生後7~8ヶ月を過ぎても離乳食を開始できていない患児が見受けられる。乳児期の適切な時期に離乳食を開始することは、患児の発達や水分制限による精神的ストレスの軽減と共に、良好な栄養状態の維持や家族の養育意欲の向上に繋がると考えた。【目的】離乳食開始の有無、家族の認識、離乳食摂取と手術部位感染(Surgical site infection,以下SSI)の関連を調査し看護介入の示唆を得ること。【方法】2017年8~10月に先天性心疾患手術目的で入院した乳幼児期患児の家族53名に離乳食開始についてのアンケート調査。53名の患児のSSI発症の有無をカルテ調査【結果】53名中29名が生後6ヶ月までに離乳食開始、24名が未開始であった。未開始群は「開始時期が分からない」「未頚座」「水分制限」「手術を控えている」等の理由で開始が遅れていた。50%以上が「相談相手がいない」「疾患への影響が心配」等悩んだ経験があり、ほとんどが医師の指導で離乳食を開始していた。家族の80%は離乳食に関する院内教室や退院時指導を利用したいと考えていた。SSI発症は53名中5名に認めたが、離乳食開始の有無で差はなかった。【考察】先天性心疾患患児の家族は離乳食開始時期について悩み、開始が遅れる傾向にあった。家族は院内教室や退院指導で離乳食に関する指導を求めていたことから、疾患と治療状況、月齢、発達状態等を評価し、医師、看護師、栄養士、保育士、歯科衛生士らと協働し家族をサポートする体制を整える必要がある。SSI発症は離乳食開始・未開始で差はなく、離乳食摂取状況だけではなく、疾患や治療による水分制限、侵襲が大きい手術など、様々な要因が発症に影響していると考えられた。【結論】先天性心疾患患児では離乳食開始が遅れる傾向にあった。適切な時期に離乳食を開始できるよう、院内教室や退院指導等サポート体制を整え、多職種で協働して介入していく必要がある。