第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演(多領域専門職部門)

子ども・家族への支援

一般口演(多領域専門職部門)5(III-TRO05)
子ども・家族への支援

Sat. Jun 29, 2019 2:00 PM - 2:50 PM 第4会場 (中ホールA)

座長:三浦 稚郁子(地域医療振興協会事務局 医療事業本部 地域看護介護部)
座長:村山 有利子(聖隷浜松病院 看護部)

[III-TRO05-02] NICUからICUを経て小児病棟へ転棟となった先天性心疾患をもつ乳児を育てる母親の思い

横田 麻耶, 村山 有利子, 杉浦 定世, 小林 千恵 (聖隷浜松病院 看護部)

Keywords:先天性心疾患, 母児同室, 母親の思い

【背景】先天性心疾患をもつ子どもは、出生後すぐに手術となるために、短期間のうちにNICUからICUを経て初めて小児病棟に入院することが多くある。A病院小児病棟は家族の付き添いが可能な病棟であり、子どもと母親は病棟転棟後に初めて母児同室入院を行う。母親は育児行動の獲得に加え、日常生活において児の心疾患の管理をする必要があるため、多くの不安を抱えている。
【目的】先天性心疾患をもつ子どもの母親が、出産後初めて母児同室する際にどのような思いを抱えているのかを明らかにし、今後の看護につなげる。
【方法】期間:2017年3月~2018年4月。対象:出生後NICUに入室して手術を受け、小児病棟に初めて転棟となった先天性心疾患をもつ子どもの母親10名。データ収集と分析:看護記録から母親の思いについて抽出し、類似するものをまとめて抽象化した。本研究はA病院の臨床研究審査委員会の承認を得た。
【結果】看護記録から抽出された母親の思いは、NICU入院中は<児の育児ができる喜び><児の状態が前進したことへの喜び><状態変化への不安><先が見えないことへの不安>、ICU入院中は<手術が無事終了したことへの安心感><親として児に関われない辛さ>、小児病棟入院中は<児と一緒に過ごせる喜び><児の成長への喜び><育児への自信><泣き止まないことへの思い><疲労><育児への不安><退院後の生活への不安>に分類された。
【考察】出生後すぐに先天性心疾患の手術を受け、初めて小児病棟に入院した子どもの母親の思いは、NICUからICUを経て小児病棟に転棟する間に変化し、多様化していた。このような母親の思いを意識して、術前から母児同室や退院を視野に入れて支援すること、転棟する際には各病棟間で情報交換および共有すること、その子どもと家族に関わっている医師や関連職種と協働してさまざまな視点からサポートすることが必要である。