[III-TRO05-03] 外来治療に移行した感染性心内膜炎の子どもと家族への介入
Keywords:退院支援, 最善の利益, 家族支援
【目的】病気を持つ子どもにとって入院治療は必要であるが、家族分離を余儀なくし長期になれば家族役割機能の遂行が困難になることが予測される。今回入院が長期となり、今後の家族機能破錠を危惧した父親から強い退院希望があった。子どもや家族にとっての最善の利益を考慮し行った退院支援について検討する。【倫理的配慮】両親に研究の趣旨を説明し、口頭と文書で同意を得て当院の倫理委員会にて承認を受けた。【事例紹介】主要体肺側副動脈、心室中隔欠損、肺動脈閉鎖を合併した多発奇形の9ヶ月女児。両親と4人兄姉の7人暮らし。両親は、手術などの積極的治療を望まず、現状維持できる最低限の治療を受け生後4ヶ月で退院。1週間後真菌性感染性心内膜炎を発症し再入院した。右房、三尖弁、腹部大動脈内に疣贅を認め治癒の兆しが見えず再入院2ヶ月後父より退院希望があった。ミルクの通過障害もあり生命維持の為には退院困難であったが、医療者間での話し合いを重ね、弁護士とも相談の上、両親の思いや家族単位での最善の利益を考え退院支援を行った。MSWへ社会資源の活用、自宅で児を看る為に最低限必要なケアを抽出し母の手技を確認。祖母のバックアップを確立し院内外泊を実施。児に最低限必要な治療や栄養が継続されるよう医療者、外来、ER、訪問看護ステーションを交えたカンファレンスを行い週5日の外来治療へと移行した。退院から17日目ER受診後自宅でCPRとなり当院搬送し看取りとなった。両親より「充実した2週間だった。家に帰れて良かった。」との発言が聞かれた。【結果・考察】子どもの治療の継続と家族の希望を叶えることができたことは子どもや家族にとっても最善の利益である。看取りとなったが家族の絆を形成し、その後のグリーフケアに繋がったと考えている。