[III-YB04-01] 当施設におけるCRTの有用性の検討
Keywords:CRT, 重症心不全, dyssynchrony
【背景】小児、特に解剖学的異常を有する症例でのCRTの有用性は明らかになっていない。【目的】当施設における小児CRT施行患者について、その効果を検討すること。【対象と方法】2013年7月以降でCRTを施行した連続6症例について、後方視的に検討。【結果】観察期間は中央値3.6年(1か月~5.6年)。CRT施行時年齢は中央値5.2歳(5か月~13歳)。全例エコーでdyssynchronyを証明した。疾患の内訳は、DCM 2例、機能的単心室2例、DORV/PA, TGA 1例、hypo RV, PS 1例。解剖学的異常を有する4例中3例で、EPSにてCRTシミュレーションを行い、効果の確認とリード留置位置の検討を行った(1例は不整脈により状態不安定のため未施行)。CRTの植え込みは全例開胸下に行い、エコーでの最遅延部位やCRTシミュレーションを可能な限り参考にリード縫着部位を選択した。6例中4例はCRT responderであり、dyssynchronyの消失とQRS時間、主心室EF、BNPの改善を認めた。Non responderの2例はいずれもCRTシミュレーション上効果が期待されていたが、AV delayやVV delayの至適化を試みてもdyssynchronyの改善には至らず、upgrade後3年以上経った現在でもreverse remodelingは得られていない。なお、non responderはdyssynchronyに起因すると思われる心不全の出現からCRT施行までの年数が中央値11.3年(11.0年、11.5年)だったのに対し、responderは中央値0.9年(2か月~4.6年)と、有意に早期に導入されていた(p<0.05)。【結語】CRTは小児症例に対しても一定の効果が得られた。シミュレーション通りの効果が得られなかった理由として、リード位置の問題の他、dyssynchronyを有したまま長期間経過し、変化が不可逆性となった可能性がある。Dyssynchronyを有した状態での強心薬使用が、dyssynchronyの増強により状態をさらに悪化させるとする報告もあることから、可及的早期にCRTを施行しそのうえで内科的治療に移行していくことが重要と思われた。