[III-YB05-03] 小児期肥大型心筋症の予後に与える学校心臓検診の影響-全国調査成績から-
キーワード:肥大型心筋症, 学校心臓検診, リスクファクタ
【背景】学校心臓検診(心検)は種々の心疾患、特にQT延長症候群の早期発見、症状出現の防止に役立っていることが報告されているが、肥大型心筋症(HCM)については報告がない。【目的】心検がHCMの早期発見、症状出現防止、予後の改善に寄与しているか検討すること【方法】厚生労働省研究班で2000年~2017年に受診した20歳未満の心筋症患児データを収集した。うちHCM患児データを用いた。収集したデータは、診断年齢、契機、心臓超音波所見、薬物療法、非薬物療法(心筋切除術を含む手術、ICD植込み、他)の有無、観察期間、予後とした。予後不良は死亡/脳死、心移植、院外心停止(OHCA)とした。【結果】小児期心筋症375例のうち134例(特発性96例、二次性38例)がHCMであった。特発性のうち55例(57%)、続発性の7例(18%)が心検で抽出されていた。特発性のうち11例(死亡2例、移植1例、OHCA10例、重複有)が予後不良例であった。予後不良を従属因子として多重ロジスティック解析を行うと症状既往(オッズ比9.88, 95%CI; 2.08~44.9, P=0.004)と総心筋厚(中隔厚+後壁厚)(1.07, 1.01~1.13、P=0.03)が独立した危険因子であった。二次性では独立した予測因子はなかった。心検での抽出は予後を改善する因子にはなっていなかった。【考察・結果】心臓検診による診断はHCMの予後改善に寄与していなかった。心電図、心臓超音波所見による診断基準の確立、症状出現前の生活指導、薬物療法・非薬物療法開始基準の確立が必要と考えられた。【研究協力者(敬称略)】太田邦雄、西原栄起、廣野恵一、市田蕗子、住友直方、大野聖子、畑 忠善、牛ノ濱大也、田内宣生