[I-PD01-5] 児童生徒の心臓性突然死ゼロに向けての山梨県での取り組み -「親子で学ぶ心肺蘇生講座」について
Keywords:心肺蘇生, AED, 突然死
【背景】近年、児童生徒を対象とした心肺蘇生教育は学校教育課程で広がりつつある。しかし、児童生徒へ心肺蘇生法を広く普及させ、獲得した技術を維持するためには、日常生活の場においても心肺蘇生に対する意識を高めることが重要である。私たちは「山梨県における児童生徒突然死ゼロ」を目指し、親子を対象とした心肺蘇生に関する市民講座を開催してきた。【目的】私たちが開催した親子を対象とした市民講座について、これまでの活動とその意義について検討する。【方法】心肺蘇生に関心を持つ児童生徒とその家族を一般公募した。AHA公認BLSインストラクターがCPRトレーニングボックスを使用しPUSHコースをベースとした講義と、CPRマネキン・AEDトレーナーを使用して「胸骨圧迫方法」「AED使用法」「親子で共同して行う心肺蘇生」についての実技練習を行った。【結果】2015年10月から2019年12月までに計10回市民講座を4市町で開催し、家族197組555名(児童生徒320名)が参加した。講義内容を工夫することで児童生徒は命の大切さの概念から心肺蘇生のスキルまで学年に応じて習得可能であった。参加者へのアンケートから、親子で蘇生講習を受講できたこと、心肺蘇生技術を獲得していく子供の姿を認識できたこと、AEDトレーナーを使用できたことが印象に残っていると回答があった。【考察】本講座の意義は、週末に親子が「心肺蘇生ができるようになる」という目標に向かって同じ時間を共有し、親子がお互いに知識と技術を獲得すること。また、人を助ける勇気など命について学ぶこと、AED設置場所に関心を持つようなることなど家族の交流や会話の機会にもなることと考えられた。一方で、技術獲得に関して客観的なデータがないことが今後の課題である。【結語】児童生徒に対する心肺蘇生指導は、教育現場だけでなく家庭や地域社会でも普及させることが有意義である。今後もこの活動を継続し活動の場を広げていきたい。