The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

学校検診・突然死

パネルディスカッション01(I-PD01)
学校検診・突然死「心肺蘇生の普及啓発への地域と学校での取り組み」

Sun. Nov 22, 2020 8:00 AM - 10:00 AM Track2

座長:三谷 義英(三重大学大学院医学系研究科 小児科学)
座長:太田 邦雄(金沢大学附属病院 小児科)

[I-PD01-6] 小児心室細動症例に対する治療戦略

野々宮 瑞紀1, 連 翔太1, 戸田 紘一1, 小島 拓朗1, 葭葉 茂樹1, 小林 俊樹1, 枡岡 歩2, 鈴木 孝明2, 住友 直方1 (1.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)

Keywords:心室細動, 遺伝性不整脈, 植え込みデバイス

【背景,目的】小児の心室細動(VF)は稀な病態で,原因も様々であり,その治療と予後を検討した.【方法】対象は2014年4月-2019年12月に当院を失神の精査で受診し,自動体外式除細動器(AED) ,モニター心電図,運動負荷試験で心室細動または多形性心室頻拍が記録され,蘇生または失神の既往のある小児17例9.7±5.1歳(平均±標準偏差),M:F=11:6で,診療録により後方視的に検討した.【結果】原因疾患はカテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)4例,QT延長症候群(LQT)4例(LQT1+3,LQT2,LQT3,結果未着それぞれ1例),冠動脈起始異常(CA),大動脈狭窄(AS),左室心筋緻密化障害(LVNC)各2例,特発性VF(IVF),J波症候群(J波),肥大型心筋症(HCM),Kearns-Sayre症候群(KSS)各1例.遺伝子検査は17例中11例に行い,9例に有意な変異を認めた.外科治療は,AS例は大動脈弁置換術,CA例は冠動脈形成術,植込みデバイスは植込み型除細動器(ICD) 2例(0歳IVF,19歳KSS),皮下植込み型除細動器(S-ICD)2例(12歳J波,12歳HCM),両心室ペーシング機能付埋込型除細動器(CRT-D)1例(9歳LVNC),着用型自動除細動器(WCD)2例(9歳CA,12歳AS).抗不整脈薬は,CPVT例は全例β遮断薬,3例にフレカイニド,LQT例はナドロール1例,プロプラノロール1例,抗不整脈薬投薬なし2例,その他の疾患はカルベジロール,プロプラノロール,アミオダロン,シベンゾリンを選択した. CA,LVNC,AS,KSSの6例には抗不整脈薬投与は行われなかった.治療介入後の平均観察期間は22±12ヶ月で,観察期間中の不整脈イベントはLQTとCPVT の4例に認め, J波の1例で運動時に心室頻拍が誘発され,自覚症状なく停止した.突然死は,夜間睡眠中のCPVT1例であった.【考察】小児のVFはほとんどが学童期に発症し,遺伝性不整脈が多かった.デバイス植え込みは二次予防目的に施行されるが,一次予防目的の施行も検討したい.【結論】小児のVFによる突然死予防には,運動制限やICDの一次予防も検討する必要がある.