The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

不整脈

パネルディスカッション02(I-PD02)
不整脈「最新の遺伝性不整脈の臨床」

Sun. Nov 22, 2020 3:30 PM - 5:30 PM Track4

座長:大野 聖子(国立循環器病研究センター 分子生物学部)
座長:青木 寿明(大阪母子医療センター 小児循環器科)

[I-PD02-2] QT延長症候群(1型ー3型)

吉永 正夫 (鹿児島医療センター 小児科)

Keywords:QT延長症候群, 学校心臓検診, 治療

QT延長症候群 (LQTS)は遺伝学的、臨床的な解明が最も進んだ遺伝性不整脈疾患の一つであり、また適切な管理が行えれば若年者の突然死を防ぎうる疾患になってきている。 主要3型の全LQTS患者に占める頻度は従来90%前後と言われてきたが、最近の次世代シーケンサー (NGS) による日本の報告でも89% (105例中93例、重複例5例を含む、RYR2を省く) と同様である1)。主要3型に絞ってLQT1/LQT2/LQT3の頻度を地域別にみると、日本46%/43%/10%2)、米国46%/42%/12%3)、欧州50%/42%/8%4)となっているので、大体50%、40%、10%という頻度と考えられる。 日本での症状出現頻度(心停止、失神)をみると、文献1ではLQT1/LQT2/LQT3が48%/62%/42%、文献2で31%/53%/40%となっている。日本での特徴2)を見ると、1) LQT3では症状出現頻度は低いが、致死的なevent発生率が高い、2) 15歳未満では主要3型とも性差を認めず、15歳以上のLQT1とLQT2では女性の症状出現が高い、3) LQT1男性では変異部位での差を認めないが、女性ではpore region (S5-pore-S6) での変異が他の部位より高く、LQT2、LQT3では男女ともpore regionでの変異が他の部位より高い、ことである。 治療方法については確立されてきたが、学校心検で抽出される無症状者に対する治療開始基準が確立されていない。難しい問題であるが対策が必要と考えられる。小児でも経過観察中の怠薬は症状出現の有意な因子になっている5)。また、経過観察方法については改善されていると考えられる。鹿児島医療センターでの主要3型全体での累積症状出現率をみると2005-2011年から2012-2018年までに46%から6% (Log-rank test, P=0.02)へと有意に減少している。1) Ohno S, et al. J Hum Genet. 2020. 2) Shimizu W, et al. JAMA Cardiol. 2019.3) Kutyifa V, et al. Ann Noninvasive Electrocardiol. 2018. 4) Lahrouchi N, et al. Circulation. 2020. 5) Koponen MK, et al. CAE, 2015.