[I-PD03-4] 小児の慢性心筋炎
Keywords:慢性心筋炎, 心不全, 小児
慢性心筋炎とは、数か月間以上持続し、拡張型心筋症類似の病態を呈するものと定義される。慢性心筋炎は,ヨーロッパにおいて疾患単位として認知されているが,アメリカでは否定的な見解が多い。このように慢性心筋炎の定義についてはこれまで世界的には統一されていない。また、拡張型心筋症と診断され、治療を受けている症例も少なからず存在すると思われる。
そこで、これまで慢性心筋炎と考えられた症例のシステマティックレビューを行い、慢性心筋炎の疫学や治療について分析を行った。また、日本での小児におけるこれまでの報告を取りまとめた。2020年までに報告された4372文献から17文献を抽出した結果、拡張型心筋症に慢性心筋炎は43.9-62.7%含まれていた。5文献が治療法について検討が行われ、免疫抑制療法やスタチン投与が有意に心機能を改善させた (p=0.007)。炎症性拡張型心筋症と診断された群と拡張型心筋症との予後は有意差が見られなかった(p=0.50)。
1997年1月から2002年12月までに心筋炎と治療された症例を対象としたガイドライン作成班のアンケート調査の結果は、261例中、慢性心筋炎は21例 (8.0%)であった。2006年1月から2011年12月に心筋炎を発症した18歳未満を対象とした第2回小児期心筋炎全国調査報告では、発症から30日以上経過し受診した症例が221例中4例であった。ウイルス検索結果では、インフルエンザAが1例検出された。全例で心内膜生検は施行されなかった。治療としてはIVIGを2例、ステロイドを1例投与された。転帰としては、1例死亡、1例で心機能低下有り、移植施行された。
慢性心筋炎は統一された定義がなく、また症例数も少ない。治療法も統一されていないが、免疫抑制療法の付加は有効である。拡張型心筋症に多く含まれていることから、前向き観察研究を行い症例を集積していくことが今後の診断と治療の確立に重要と思われる。
そこで、これまで慢性心筋炎と考えられた症例のシステマティックレビューを行い、慢性心筋炎の疫学や治療について分析を行った。また、日本での小児におけるこれまでの報告を取りまとめた。2020年までに報告された4372文献から17文献を抽出した結果、拡張型心筋症に慢性心筋炎は43.9-62.7%含まれていた。5文献が治療法について検討が行われ、免疫抑制療法やスタチン投与が有意に心機能を改善させた (p=0.007)。炎症性拡張型心筋症と診断された群と拡張型心筋症との予後は有意差が見られなかった(p=0.50)。
1997年1月から2002年12月までに心筋炎と治療された症例を対象としたガイドライン作成班のアンケート調査の結果は、261例中、慢性心筋炎は21例 (8.0%)であった。2006年1月から2011年12月に心筋炎を発症した18歳未満を対象とした第2回小児期心筋炎全国調査報告では、発症から30日以上経過し受診した症例が221例中4例であった。ウイルス検索結果では、インフルエンザAが1例検出された。全例で心内膜生検は施行されなかった。治療としてはIVIGを2例、ステロイドを1例投与された。転帰としては、1例死亡、1例で心機能低下有り、移植施行された。
慢性心筋炎は統一された定義がなく、また症例数も少ない。治療法も統一されていないが、免疫抑制療法の付加は有効である。拡張型心筋症に多く含まれていることから、前向き観察研究を行い症例を集積していくことが今後の診断と治療の確立に重要と思われる。