[I-PD04-2] 複雑な形態の心房中隔欠損症を安全に閉鎖するための治療戦略
Keywords:ASD, 安全, 合同カンファレンス
【はじめに】ASDでは経皮的閉鎖困難例があり、その適応は慎重に検討すべきである。当院では安全な治療を目指し、全症例に対し治療前後の合同カンファレンス(小児科、循環器内科、心臓血管外科)で治療法の妥当性を検討している。デバイス閉鎖の可能性があると判断した症例は全身麻酔下に心臓カテーテル検査及びTEEを行い、治療に臨んでいる。【方法】当院で経皮的閉鎖術または外科的閉鎖術の対象となったASD症例177例のうち多孔性ASD症例、一次/二次中隔のmalalignment症例において治療方針及び転帰を後方視的に検討した。【結果】多孔性ASDは12例で、うち8例はデバイス閉鎖、3例は心カテーテル検査/TEE評価後に手術、1例はTEE所見より手術が選択されていた。デバイス閉鎖例で下縁rimが欠損しているが遺残短絡を許容する形で留置した症例が2例あり、risk and benefitを念頭に置いた治療選択がなされていた。広範なrim欠損や中隔瘤を伴った複雑な形態の症例では手術が選択されていた。心房中隔malalignment症例は5例で、うち2例はデバイス閉鎖、3例は心臓カテーテル検査/TEE評価後に手術が施行された。Sizing Balloonでの計測時に短絡が残った症例がありrimの把持困難が予想され最大径のデバイスでも閉鎖不能と判断して手術が選択された。術中所見ではrimが非常にfloppyであり、心臓カテーテル検査時の判断は妥当であったと考えられた。経皮的閉鎖術症例で心侵食や閉鎖栓脱落はなく、手術症例で術中所見からデバイス閉鎖可能と考えられた症例もなかった。【まとめ】非定型的形態のASDを安全に閉鎖するには、治療前のカンファレンスで検査画像(TTE/TEE、CT等)に基づき十分に検討することが不可欠である。経皮的閉鎖術を行う小児科/循環器内科だけでなく心臓外科との合同カンファレンスで治療方針を検討することや、手術例の術中所見をfeedbackし治療法の妥当性を検討することは医療チームの質を向上するうえでも重要である。