[I-PD04-3] 体重15kg以下の小児に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術の安全性と有効性
Keywords:経皮的心房中隔欠損閉鎖術, 低体重児, カテーテル治療
【背景】心房中隔欠損症は一般的に幼少期には無症状だが、染色体異常などの背景疾患を持つ児では早期より体重増加不良、肺高血圧などを呈し治療を要することがある。当施設群は現在まで700例以上の経皮的心房中隔欠損閉鎖術(TCASD)の経験を有し、近年は-2SDを下回り続ける体重増加不良、年に5mm前後の欠損孔拡大、経時的な右心系拡大を呈する症例では低体重児であっても積極的にTCASDを行い良好な成績を得ている【目的】体重15kg未満におけるTCASDの有効性・安全性を評価する【方法】対象:2015年1月から2019年12月に当施設群でTCASDを施行した331例中、体重30kg以下の小児161例。体重15kg以下のL群21名と15.1kg-30kgのC群140名の2群において、患者情報や欠損孔詳細、治療内容や治療後経過に関して後方視的に群間比較を行った。尚、原則として希望があればまず経皮的治療を試み、施行できなかった症例に関して外科手術を行った【結果:中央値(範囲)】L群は男女比3:18、月齢45か月(10-67)、体重13.2kg(8.2-15)、身長94.6cm(74-103)で5名に染色体異常を認めた。L群はC群と比べ有意に欠損孔最大径/身長比(15.9vs11.2mm/m)、欠損孔最大径/心房中隔全長(0.45 vs 0.36)が大きく、治療前のNT pro BNP値(236.3 vs 124.2pg/mL)やQp/Qs(2.7vs2.1)、平均肺動脈圧(19vs15mmHg)が高値であった。一方でL群とC群の間に、Aortic rim以外のrim欠損の頻度(1 vs 6例)や治療手技時間(7vs6.3分)、治療成功率(95.3 vs 99.3 %)、治療後の合併症率(4.7vs2.5%)に有意差は認めなかった。合併症の詳細としてはL群において1名で輸血を要する貧血を認めたのみであった。L群でC群と比較し治療翌日のNT pro BNPの高値(1241.55vs418.3pg/mL)を認めるものの顕性の心不全徴候はなく、治療後はL群においても良好な体重増加を認めた。【考察】15kg未満の小児に対するTCASDは、症例を選べば年長児と同様に安全に行える。