[I-YB01-5] 純型肺動脈閉鎖症におけるone and one-half repairの役割~フォンタン関連臓器障害を予防しうるか~
Keywords:純型肺動脈閉鎖, 心不全, 拡張機能
背景:純型肺動脈閉鎖症 (PAIVS)の修復形態は右心系低形成の程度によって異なる。Fontan循環遠隔期に末梢臓器障害を発症することが明らかとなり、血行動態的にメリットが少ないことが指摘されてきたone and one-half repair (1+1/2)に長期的利点があるかもしれない。1+1/2修復の血行動態的利点を検討する。方法:当院で最終修復形態に至ったPAIVS 26例の血行動態指標を術後評価カテーテル検査50回および周術期超音波検査データから解析する。結果:フォローアップカテーテルの年齢 (median, IQR)は2心室 (BVR: N=23, 1.5, 0.7-4歳)、フォンタン (Fontan: N=10, 16, 11-26歳)、 1+1/2 (N= 17, 10, 7-16歳)であった。二心室症例と比較し、Fontanおよび1+1/2で心拍出量 (CI: 3.2±0.7, 2.1±0.5*, 2.5±1.0)が低く、上大静脈圧 (SVC: 5.9±1.8, 11.0±1.2*, 9.9±4.6* mmHg)、下大静脈圧 (IVC: 5.8±1.7, 11.0±1.5*, 7.5±2.1# mmHg)が高かった。また二心室症例と比較し1+1/2症例では右室拡張末期圧 (RVEDP: 6.6±3.4, 11.5±3.5 mmHg, p= 0.0010)が高かった。統計学的に年齢差を補正しても1+1/2はBVRと比較しIVC圧およびRVEDPは有意に高値を示した。個別の観察ではBVRおよび1+1/2症例で経時的にIVC圧およびRVEDP、血漿心房ナトリウムペプチド (HANP)が低下する傾向が認められた。BVR、1+1/2はFontan症例と比較し僧帽弁輪拡張早期運動速度e’、E/A ratioが保たれ、左室機能にも差異がある可能性が示唆された。(*: p<0.01, #: p<0.05, as compared with BVR)結論:1+1/2修復で修復された症例は前負荷を動員することでIVC圧、RVEDPを上昇させ、心拍出量を代償し、その結果、IVC圧はBVRよりも高く、静脈うっ血の観点からはFontan循環に近い。しかし経時的にBVR症例同様IVC圧、RVEDPが低下する傾向があり、Fontan循環に関連する遠隔期末梢臓器障害を回避できる可能性がある。