[II-DB02-1] 左室心筋梗塞をきたした新生児は単心室循環を目指せるのか
Keywords:Myocardial Infarction, 新生児, 右室性単心室循環
【背景】新生児期の心筋梗塞(MI: Myocardial Infarction)は稀で死亡率は80-90%に達する。今回、正常な冠動脈起始で新生児期にMIを発症し、動脈管を開存させ右室性単心室循環、フォンタン型手術を目指す症例を経験した。【症例】近医産科にて予定帝王切開で出生(37w1d、3174g)、日齢6に退院。同日から発熱あり前医で髄膜炎として加療も、呼吸循環管理のため日齢8に当院へ救急搬送。入院後の経胸壁心エコーで左室自由壁、後壁の収縮力低下を認め、心電図上は左側胸部誘導でST上昇を認め回旋枝を病変とするMIと診断、日齢13以降はV5-6でQS patternで固定。日齢8の造影CTでは明らかな冠動脈起始異常なく日齢44の造影CTで回旋枝領域の石灰化初見を認めた。エコー上はLVEF 20%程度で心室中隔の動きはあるが自由壁、後壁の収縮なし。左室からの順行性血流あるがtransvers archは動脈管からの逆行性血流であった。日齢17からlipo PGE1持続投与を開始し右室性単心室循環を目指す方針とした。日齢23に心房間狭小化に対しBAS施行 (心房間圧較差11→1mmHg)、同時に大動脈造影で正常冠動脈起始を確認。肺血流制御を目的に日齢28に両側肺動脈絞扼術を施行。乳び胸水に難渋したが日齢67に抜管、日齢101に胸腔ドレーン抜去、日齢107にカテコラミンを中止。現在5ヶ月齢でBNP 4034→871pg/m まで低下、体重4.2kgまで増加。次の手術術式はNorwood手術を予定しているが、末梢平均肺動脈圧19mmHgと高く肺血流供給は検討中である。一番重要な点は、大きい左室をどのようにvolume reductionするかだが、僧帽弁のfenestrated patch closureを考えている。