[II-DB02-4] 軽度の精神発達遅滞をもつ Mustard,Rastelli術後遠隔期の中等度肺動脈弁狭窄兼閉鎖不全症に対する治療方針
Keywords:修正大血管転位, Double switch手術, 4D flow MRI
【症例】30歳男性【診断】 {SLX} AV discordance, VA discordance VSD PA, p-Mustard+Rastelli ,PA plasty (Le compt maneuver) 術後PSR【主訴】 全身倦怠感【心疾患既往歴】 幼少期に3回のBT shunt 術施行、9歳時 Mustard + Rastelli手術+肺動脈再建術(Le compt maneuver) 23歳時 心房頻拍(AT)に対してablation【その他の既往歴】 29歳時 総胆管結石にて内視鏡的乳頭切開術 軽度の精神発達遅滞あり(自宅引きこもりだが知的障害は認めず)【現病歴・経過】 23歳ごろより自宅で引きこもりがちの生活だったが、30歳から自宅の掃除など軽労作にて倦怠感を自覚されるようになり検査入院となった。造影CTでは両側肺動脈の高度石灰化とさ、Valsalva洞43mm,上行大動脈径38mmと軽度の大動脈拡張認めるも8年前と著変無く、経食道心エコーでもARはmild。左室の壁運動は保たれていた。右心カテーテルでは末梢肺動脈から右心室への引き抜き圧で43mmHg程度の圧格差あり。肺動脈造影にてSellers 3°のPRを認め、肺動脈弁についているマーカーより1葉弁が完全にfrailの状態であることが確認された。Fick法による心拍出量は2.89l/min/m2。4D flow MRIでは、PR fraction 21%, RVEDVI 84ml/m2, RVESVI 34ml/mV2, RVEF 59%とないものの心負荷を表すFlow energy lossでは11mWと正常の11倍もの心負荷所見が認められた。上記所見からは今後右心不全が進行する可能性はあるが、軽度の精神発達遅滞と引きこもり生活があり、手術を行ってもその後の治療とリハビリに協力が得られない可能性が高いと考えられる。手術の至適施行時期ならびに治療方針の決定方法につき議論したい。