[II-OEP07-1] 肺動脈におけるvasa vasorumの3次元画像構築 -Fontan candidateにおける経時的変化と臨床的有用性-
Keywords:Vasa vasorum, 肺動脈, フォンタン循環
【背景と目的】肺動脈 (PA)のvasa vasorum (VV)は大動脈・気管支動脈から起始して肺動脈外膜へ血流を送っている。チアノーゼ性心疾患ではPA-VVは体肺側副血管と血管網を形成してお互いの発達が連動していることを我々は示してきた。さらにPA-VVは肺動脈コンプライアンスや血管抵抗など血管リモデリングに関与すると報告されている。今回、Fontan candidateのBDG術後およびFontan術後におけるPA-VVをOCTで撮像・3次元画像解析してPA-VVの臨床的意義について考察した。【方法】対象はFontan Candidate 10例(BDG術後およびFontan術後に各症例2回観察:各々BDG群・Fontan群)と正常肺動脈圧の心疾患群(Control群) 20例である。心カテ施行時にOCT画像を撮影し、OsiriX MD, QAngiOCTを用いて2D断面像およびMPR像・VR像などの3D画像を構築した。PA-VVの発達はVVの面積・体積を血管外膜の面積・体積で除した値(VV area ratio, VV volume ratio)として評価した。【結果】OCTから得られたPA-VVの画像は3次元構築することで発達や進展を明瞭に示すことが可能であった。Control群に比してBDG群、Fontan群においてはPA-VVは本数が多く、径は太く、弯曲・蛇行していることが示された。BDG群はControl群に比して、VV area ratio, VV volume ratioは有意に高値であった。Fontan群ではBDG群よりもVV area ratio, VV volume ratioは有意に低下していたが、Control群に比較すると高値を示した。【結語】低酸素血症や肺血流量低下は体肺側副血管およびPA-VVを発達させる因子として考えられる。BDG循環のもとで発達したPA-VVがFontan循環下で縮小傾向を示したのは低酸素血症・肺血流量低下の改善の影響があるかもしれない。Fontan CandidateにおけるPA-VVは体肺側副血管の発達や肺血管機能に影響を与えている可能性がある。PA-VVの3次元的構造を評価することは肺循環評価の臨床的有用性に繋がると考えた。