The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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優秀演題

循環器集中治療

優秀演題08(II-OEP08)
循環器集中治療の現状と未来

Mon. Nov 23, 2020 10:10 AM - 10:40 AM Track7

座長:小田 晋一郎(九州大学大学院 医学研究循環器外科)
座長:松井 彦郎(東京大学医学部附属病院 小児科)

[II-OEP08-2] 当センターにおける先天性心疾患術後の乳び胸の治療成績

久保 達哉1, 和田 翔1, 本村 誠1, 青木 智史1, 池山 貴也1, 村山 弘臣2 (1.あいち小児保健医療総合センター 集中治療科, 2.あいち小児保健医療総合センター 心臓血管外科)

Keywords:乳び胸, 術後合併症, ICG

【背景】乳び胸は先天性心疾患術後0.25-9%に発症し致死的となることがある。種々の治療が行われているが未だ確立した方法がない。【目的】当院における乳び胸の治療成績、治療に抵抗性で外科治療を要した症例に関して記述する。【方法】2017年1月から3年間で当院の小児心臓手術637例を対象とした。乳び胸の診断は胸水所見(TG >110mg/dL,リンパ球優位の白血球増加(1000/μL))により行った。乳び胸と診断した症例の患者背景、治療内容、治療成績に関して検討する。【結果】乳び胸と診断したのは24例(3.9%)で、月齢は2.5か月、体重は3384g。心内形態はCoA complex 6例、AVSD 3例、TOF 4例、TAPVC 2例、その他9例。基礎疾患は21trisomyが10例、その他の染色体異常が2例、奇形症候群が1例であった。栄養療法は全例で行い、栄養療法のみで改善したのは6例で、残りの18例のうちステロイドは12例、13因子製剤は13例、オクトレオチドは10例で使用し、絶食まで行ったのは8例だった。治療抵抗性の4例に対してリンパ管シンチを行い、インドシアニングリーン(ICG)蛍光造影法を3例に行った。手術を要した3例のうち2例で術中にもICG蛍光造影法を行った。手術を行った3例のうち2例は術後すみやかに治癒したが、1例は複数回の手術にも関わらず難治の経過をたどった。【考察】当院での乳び胸の頻度は3.9%で、88%は内科的治療で治癒し、外科的治療を行った症例は12%であり従来の報告と合致していた。治療抵抗性の4例にリンパ管シンチを行ったが、診断、治療方針の決定に有用であったのは1例のみであり有用性に乏しかった。一方、ベッドサイドで簡便に行える、ICG蛍光造影法は3例に行ったが、全例で治療方針の決定に有用であり、術野でも使用しリンパの流出する部位の同定に役立ち、3例中2例の治癒に貢献した。近年、リンパ管造影などの手技が報告されているが、専門性の高い手技であり、簡便に行えるICGは依然有用な検査と考えられた。