[II-PD05-2] 術前循環サポートからみた小児心臓移植の現状
キーワード:小児心臓移植, 補助人工心臓, 循環補助
臓器移植法下心臓移植が始まり20年が経過し、少しずつではあるが小児心臓移植件数の増加が認められるようになった。しかし未だ十分な数ではなく、海外へ渡航する患児も後を絶たない。当院では可能な限り国内移植を目指し移植前管理をおこない、2017年からは国内移植のみを行っている。これまでに施行した移植時年齢が18歳未満の小児心臓移植は28例で、年齢は1.3から17.7歳、平均14.2歳。19例が2017年以降の症例であり、近年の症例数の増加を認めた。疾患はDCMが16例、RCMが7例、その他5例。平均待機期間は762日(中央値790日)。status1の期間は平均683日(中央値615日)で、待機状態は20例がVAD(3例biVAD)、7例がカテコラミン持続投与、1例がstatus2であった。VAD装着患者の平均装着期間は694日(中央値661日)で、最長1157日。VADはEXCORが6例、Jarvik2000が5例、HVADが4例、Evaheart1例、初期の症例でNiproを3例使用した。植込deviceの装着期間は平均902日に対しNipro装着症例を除く10歳未満症例(Excor装着)では平均418日で短い傾向にあり、優先提供やドナーの体格などの影響が考えらえた。biVADを要した3例は、2例がRCM、1例は劇症型心筋炎後心筋炎であり、高度の右室拡張障害からくる他臓器鬱血により右心サポートを導入、biVAD 後も多量の利尿剤やカテコラミンサポートなどの管理が必要であった。疾患別ではRCM7例中6例がVADを要しており、カテコラミンサポートのみでは安全に待機できない状態であった。【まとめ】近年小児心臓移植数は増加傾向にあり特に低年齢の患児では比較的短い待機期間で移植に到達できる可能性があるが、RCMはVADが高率に必要で管理も難渋することがあり、何らかの対策が必要であると考えられた。