The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

心臓移植と補助循環

パネルディスカッション05(II-PD05)
心臓移植と補助循環「本邦における小児心臓移植と補助循環の現状  ドナー、レシピエント双方の立場から」

Mon. Nov 23, 2020 8:10 AM - 10:10 AM Track4

座長:福嶌 教偉(国立循環器病研究センター 移植医療部)
座長:平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)

[II-PD05-3] 小児心臓移植認定施設における補助循環と心臓移植の現状

新川 武史, 中山 祐樹, 寶亀 亮悟, 片桐 絢子, 吉田 尚司, 布田 伸一, 新浪 博 (東京女子科大学 心臓血管外科)

Keywords:心移植, 補助人工心臓, 心不全

【目的】臓器移植法が2010年に改正され小児心臓移植の道が開けてから小児心臓移植件数は増加傾向にあるが、各々の施設での心臓移植までの経緯の詳細は不明である。当院でのこれまでの心臓移植適応患者の経過を検証し、問題点を検討する。【方法】2013年11月の東京女子医科大学の小児心臓移植施設認定から現在までに、当院で心臓移植適応と診断された小児患者を対象に、後方視的研究を行った。【結果】6年間で計14人の小児患者が心臓移植適応と判定された。判定時期としては2014年3人、2015年1人、2016年1人、2017年4人、2018年1人、2019年4人。判定時の年齢は1歳以下の乳児3人、1-10歳の小児3人、11歳以上の学童8人であり、中央値は11.5歳。判定時の体重は中央値17.6kg (4.4-53.1kg)。術前診断は拡張型心筋症が10人、拘束型心筋症が3人、末期先天性心疾患が1人であった。心臓移植判定から中央値337日(34-2089日)の経過観察後に、6人が心臓移植到達(4人が補助人工心臓からのブリッジ:渡航移植3人、国内移植3人)、5人が移植待機中(補助人工心臓によるサポート中2人、補助人工心臓離脱後1人)、3人が死亡した。死亡例は補助人工心臓(LVAD)装着中の不整脈 1人、Status 2待機中の突然死(不整脈が疑われる)1人、補助人工心臓準備中の心不全死1人であった。補助人工心臓患者の補助期間は中央値で294日(191-958日)、移植実施患者の待機時間は中央値で271日(159-650日)であった。心臓移植患者6人の術後経過期間は中央値で0.8年(0.2-4.8年)、全員生存して外来通院中である。【結語】当院での小児心臓移植希望患者の待機中死亡は21%と未だ高率である。補助人工心臓装着により長期の移植待機が比較的安全に可能になってきており、適切な装着時期の判断が求められている。