The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

パネルディスカッション

心臓移植と補助循環

パネルディスカッション05(II-PD05)
心臓移植と補助循環「本邦における小児心臓移植と補助循環の現状  ドナー、レシピエント双方の立場から」

Mon. Nov 23, 2020 8:10 AM - 10:10 AM Track4

座長:福嶌 教偉(国立循環器病研究センター 移植医療部)
座長:平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)

[II-PD05-4] B-05 心臓移植と補助循環:本邦における小児心臓移植と補助循環の現状 ドナー、レシピエント双方の立場から

戸田 紘一1,3, 枡岡 歩2,3, 連 翔太1, 細田 隆介2, 永瀬 晴啓2, 小島 拓朗1, 葭葉 茂樹1, 鈴木 孝明2,3, 小林 俊樹1,3, 住友 直方1 (1.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科, 3.埼玉医科大学国際医療センター 重症心不全・心臓移植センター)

Keywords:EXCOR, pump rate, コアグチェック

【緒言】EXCORでのより良い補助を行うためには、患児の成長・発達に伴うpump設定の調節や適切なタイミングでのsize upを行うことであり、また、その前提として合併症をいかに予防するかも重要である。【症例】当院ではEXCOR 装着7例中3例が移植に到達し、1例が離脱、3例が装着中である。装着時年齢は3.1 歳(2ヵ月-8歳3ヵ月)、体重は9.3 kg(4.1-16.2kg)で、装着時のpump sizeは10mlが2例、15mlが3例、25mlが2例であった。離脱した1例は検討から省いた。【方針】体重・胸部X線・エコー・BNPなどを加味し、1. fillingに余裕があればpump rateをup、2. 可能な限りCIを3.0/m2以上に維持、を心掛けている。週2回のコアグチェック(以下、Coag)の測定と、週1回の検査室でのPT-INR(以下、INR)の測定を行なっている。【結果】5例は経時的にpump rateを調節し良好な成長・発達が得られた。2例は体重増加によりpump rateが限界と判断し、pumpを10mlから15ml、25mlから30mlへsize upした。10mlから15mlへのsize upではカニューレsizeが異なるためその点に留意が必要となった。全例でINR=Coag×1.176+0.323、R2=0.811、P<0.001 であり、CoagとINRは正の相関を認めた。低年齢ほどCoagとINRとの解離を認め、Coagが高いほどINRとの解離が強くなる傾向を認めた。血栓形成によるpump交換は0.48回/年であった。外傷性脳出血を1例に認めたが、それ以外の脳血管障害は認めなかった。【考察】EXCOR装着後、適切なCIを担保することで、心不全に伴う神経発達の遅れなど種々の合併症の改善が期待でき、さらには成長・発達を促し可能な限り健常児に近い生活を実現できる。また、Coagを測定することで患児のINRの予測が可能であり、患児の採血頻度を減少させることができる。【結語】Coagを用い合併症に配慮しながらも、適切なpump設定やsize upで児の成長・発達を促せ、またより安定した循環補助を行う事が出来ると考えられる。