The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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会長賞講演多領域専門職部門

会長賞講演多領域専門職部門(II-TRPAL)

Mon. Nov 23, 2020 10:15 AM - 10:55 AM Track2

座長:藏ヶ崎 恵美(福岡市立こども病院看護部 PICU)
座長:赤松 伸朗(大阪市立総合医療センター)

[II-TRPAL-1] 先天性心疾患児の小学校生活に関するインタビュー調査-母親と教師の視点の相違に着目して-

川崎 友絵, 萩本 明子 (同志社女子大学 看護学部)

Keywords:先天性心疾患, 小学校生活, 母親と教師

【目的】
先天性心疾患児の小学校生活には保護者と教師の協力が不可欠であるが、立場や認識の違いから相互理解が難しく齟齬が生じることがある。そこで、先天性心疾患児の小学校生活の現状を母親と教師双方の視点から検討した。
【方法】
研究協力者は、先天性心疾患児を持つ母親10名と患児が通う小学校の教師6名(担任教師と養護教諭、各3名)。母親と教師各々に小学校生活の現状に関して、2017年12月~2018年7月に半構成的面接を行った。面接内容を録音、逐語的に記述し意味のある文節をコード化、意味内容の類似性にてカテゴリー化し、抽出されたカテゴリーに基づき概念の関係性を表した。本研究は同志社女子大学の倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:2016-31)。
【結果】
母親の年齢は30~60代、子どもの年齢は8~29歳、疾患はファロー四徴症、両大血管右室起始等、学校は普通学級6名、支援学級3名、特別支援学校1名であった。教師の年齢は20~50代、教師歴は7年~33年、担当は普通学級2名、支援学級1名であった。母親から抽出されたコアカテゴリーは<I心臓病とともに生活しているわが子><II学校生活を送る上で母親が感じる問題点><III学校生活への要望と母親の思い><IV成長とともに変化する問題と将来への不安>の4個、教師からは<i学校生活の中での心臓病の児童の姿><ii学校生活を送る上で生じる問題点><iii学校生活の中での指導と配慮><iv保護者との関係性><v医療との連携の現状>の5個であった。
【考察】
小学校生活に関して母親は、<I>子どもの生活全般や<IV>変化する問題と将来の不安等、幅広く長期的な視点で学校生活を捉え、教師は<i>学校の中での姿や<iii>学校での指導と配慮等、学校生活の枠組みの中での視点で捉えており相違が認められた。しかし、主治医と学校の連携強化やさらなる医療の介入への要望は共通点と考えられた。