[II-TRPAL-2] 子どもの医療に携わる看護師長と副看護師長が直面する倫理的問題とその対処
Keywords:倫理的問題, 看護管理者, 小児
【目的】子どもの医療に携わる看護師長(以下、師長)と副看護師長(以下、副師長)が直面する倫理的問題と対処を明らかにし、倫理的問題解決への示唆を得る。【方法】小児系病棟に勤務する師長と副師長を対象とし、子どもの医療で直面した倫理的問題と対処について半構成的面接を行い、内容分析した。倫理審査委員会承認後に実施した。【結果】対象者は、師長4名(平均師長経験5.5年)、副師長7名(平均副師長経験5.0年)であった。倫理的問題は【子どもの擁護者としての意識が低い看護師の存在】【倫理的思考と看護実践の乖離】【子ども中心の病床管理が実現しない状況】【小児医療に見合わない人員配置】【終末期医療における関係者の価値の相違】【他者に委ねられた子どもの最善】【制約の多い子どもの療養環境】【根拠が示されない鎮静や抑制】【親に依存した在宅療養の現実】等の13カテゴリーで、サブカテゴリーに、先天性心疾患の<安静を目的とした鎮静薬の常用化><根治術が危ぶまれる子どもの親の葛藤>が含まれた。対処は【倫理的行動のロールモデルとしての自覚】【倫理的問題を話し合える組織風土の形成】【子どもが安全に過ごすための環境調整】【子どもを取り巻く人々との協働】【子どもの最善の利益に基づいた代理意思決定支援】【子どもの権利擁護を基軸とした看護実践の推進】の6カテゴリーであった。【考察/結論】師長と副師長は、子どもの権利擁護が不十分な看護師の姿勢、看護ケア、療養環境、意思決定を問題と捉え、先天性心疾患では鎮静管理や親の葛藤を問題と捉えていた。また、役割モデルとして、環境調整、多職種協働、代理意思決定、看護実践を牽引していた。看護管理者は、組織や他部門との交渉、適切なリソースの活用を促進し、子どもと家族の権利擁護に向けた療養環境や意思決定を支えると同時に、看護師に対する教育的・実践的関わりを通じて、倫理的な組織風土を醸成する必要がある。