The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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多領域専門職部門シンポジウム

小児循環器看護

多領域専門職部門シンポジウム03(II-TRS03)
小児循環器看護に必要な看護実践の工夫

Mon. Nov 23, 2020 4:00 PM - 5:00 PM Track5

座長:井林 寿恵(京都府立医科大学付属病院 PICU)
座長:村山 有利子(聖隷浜松病院)

[II-TRS03-2] 循環器疾患をもつ子どもへの安静へのケアと鎮静の判断

村山 有利子 (聖隷浜松病院)

Keywords:安静, 鎮静, 小児循環器

子どもは、生活や遊びの中で成長発達しており、周囲との相互作用の中で自発的・能動的に動いている。心不全に対する内科的治療の原則は、安静、水分・塩分制限、薬物療法であるが、子どもは覚醒や活動、啼泣などにより安静の保持が難しく、循環器疾患をもつ子どもの場合は容易に血行動態の変調や心負荷をまねき、ときには生命に直結することもある。また、心臓カテーテル検査・治療後の固定管理、ライン・チューブ類が挿入されている術後の安全保持など、循環器疾患をもつ子どもと関わる医療者は、常に子どもの「安静」を考えている。しかし、日々経験しているケアにも関わらず、「起こしていていいのか?眠らせるのか?」という問いは、経験を重ねても迷いの尽きないネタである。
例えば、「少し泣いただけで心拍が200回/分になってしまう」「哺乳後30分しか寝ない。ベッドに戻すと泣いてしまう」「お母さんが帰ってから1時間以上ずっと泣いている」「心カテ後、麻酔からの覚めが悪くて暴れている」「子どもは成長発達が大切なので、鎮静薬は使いたくない」「受け持ちが私に代わったら暴れる(泣く)ようになってしまった」など、これらはよくある経験である。実際、2017年に行った小児循環器看護に関する「看護実践」「看護実践での困難や対処方法」「教育ニーズ」についてのインタビュー調査では、「鎮静薬の使用」に関連した語りが多いことが明らかになった。
「安静」にしていても呼吸循環が維持できない場合もある。子どもの啼泣に充分に対応できない場面もある。「子どもの鎮静」には、認知・言語能力が発達途上であるために意思決定が難しいこと、薬剤による鎮静は自然に反する行為であること、慌ただしい業務と対応力の関係性などの倫理的問題も含んでいる。今回、それぞれの医療者や施設が試行錯誤している安静へのケアと鎮静について、情報交換とより良いケアを考える場になればと考えている。