[II-TRS03-3] 小児循環器集中治療における皮膚障害予防及びライン管理
Keywords:PICU, 自重関連褥瘡, MDRPU
子どもの皮膚は脆弱で、外力にも弱く皮膚障害を生じやすい。特に、循環器疾患を持つ子どもは、循環不全や浮腫、低栄養、感覚・知覚・認知の低下等からそのリスクが高い。今回、自重関連褥瘡と医療関連機器圧迫創傷(以下MDRPU)の視点から、発生状況、発生概念、予防・管理のアルゴリズムに触れながら、小児集中治療室(以下PICU)における皮膚障害予防、およびライン管理について紹介する。 日本褥瘡学会によると、小児専門病院の褥瘡(自重関連褥瘡とMDRPU)推定発生率は1.34%と他の一般病院や介護福祉施設より高く、呼吸器疾患、循環器疾患、先天奇形変形・染色体異常に多く、仙骨部・後頭部・頸部・耳介部に発生しやすい。また、MDRPU推定発生率も0.74%と高く、褥瘡の50%をMDRPUが占める。 当院PICUの自重関連褥瘡発生は0.5~1.5%で推移し、9割近くを循環器疾患が占め、後頭部・踵・耳介に多い。予防策として、PICUリスクアセスメントツール(治療上体位変換禁止、体位の制限、高度の骨突出、強い関節拘縮、麻痺、強い浮腫、体外式模型人工肺の使用、未閉胸、低血圧、脆弱な皮膚、反応性充血、スキン‐テア保有・既往の12項目)を評価し、適切な体圧分散寝具(ウレタンフォーム、天然ゴム、エアマットレス等)の選択、1日3回の観察、体圧分散、保湿中心のスキンケア、栄養管理などを実施している。また、MDRPUも9割以上を循環器疾患が占め、発生率は8.0%と高かったが、予防策により2.7%まで低下している。シーネ、血管留置カテーテルによる発生が多く、機器・個体・ケア要因を評価し、1日3回の観察、適切な素材とサイズの選択、外力低減のケア(シーネやカテーテル固定方法の工夫)を中心に実施している。 循環器疾患を持つ子どもの自重関連褥瘡、MDRPU発生率は高く、適切なリスク評価と予防策の実施が重要となる。様々な施設の取り組みや工夫を共有し、小児循環器集中治療における皮膚障害予防につなげていきたい。