[II-YB03-8] 本邦における総動脈幹症治療戦略傾向と成績ーJCVSDデータベースからの検討よりー
キーワード:総動脈管症, 肺動脈絞扼術, 段階的手術
【はじめに】総動脈幹症(TAC)は比較的稀な疾患で出生児より治療を要する。外科的治療としてPrimary repair(P群)がWorld standardではあるが、本邦では両側肺動脈絞扼術(bPAB)を先行させたStaged Repair(S群)が幅広く行われている。JCVSD databaseより治療戦略傾向とその成績を示し、検討を加える。
【方法・対象】NCD(JCVSD)(2008-2018)に登録され解析可能なTruncus arteriosus(TAC)全 287例。Operative mortality(OM)[30days mortality(Y) or discharge mortality(Y)]、Post-OP adverse event(AE)[Post OP ECMO or CPR]に対するRisk factorを解析する。尚、施設規模は年間小児開心術数に応じて分類した。
【結果】P群24%(68/287), S群:76%(219/287) であり、S群内訳は、bil-PABを経て根治術に到達したStaged Complete (SC)群(n=163)と観察期間中根治未到達なStaged Waiting (SW)群(n=56)である。IAA合併13%(n=38)、Truncal valve anomaly は10%(n=28)。94%(32/34)のpremature baby、81%(29/36)のIAA合併症例でStaged strategyを選択。各群(P, SC, SW)の手術時年齢(median)(14,245,6)(days)、体重(3.0, 6.0, 2.7)(kg)。OM(P vs S[SC+SW])=(16.2%:11/68 vs 11.9%:26/219)(p=0.4)であった。 また根治術(n=231)に対するOM (P vs S)=(16.2%:11/68 vs 6.7%:11/163) (p=0.046)。staged群inter-stage mortality OM(SW)=26.8%(15/56)。多変量リスク解析にて、OMに対してrepeat PAB(p=0.04)、術前因子(shock, CPR等)(p<0.0001)、術前Catecholamine投与(p=0.04)が、AEに対して、未熟児(P=0.01)、low volume center (<25% per tile)(p<0.0001)が危険因子であった。
【結語】本邦TAC70%以上にstaged repairが選択されている。治療成績には合併疾患より患者術前状態に大きく影響を受ける。術後経過には術前状態に加え施設経験の影響も示唆された。成績向上に向け改善の余地はあり更なる飛躍を期待したい。
【方法・対象】NCD(JCVSD)(2008-2018)に登録され解析可能なTruncus arteriosus(TAC)全 287例。Operative mortality(OM)[30days mortality(Y) or discharge mortality(Y)]、Post-OP adverse event(AE)[Post OP ECMO or CPR]に対するRisk factorを解析する。尚、施設規模は年間小児開心術数に応じて分類した。
【結果】P群24%(68/287), S群:76%(219/287) であり、S群内訳は、bil-PABを経て根治術に到達したStaged Complete (SC)群(n=163)と観察期間中根治未到達なStaged Waiting (SW)群(n=56)である。IAA合併13%(n=38)、Truncal valve anomaly は10%(n=28)。94%(32/34)のpremature baby、81%(29/36)のIAA合併症例でStaged strategyを選択。各群(P, SC, SW)の手術時年齢(median)(14,245,6)(days)、体重(3.0, 6.0, 2.7)(kg)。OM(P vs S[SC+SW])=(16.2%:11/68 vs 11.9%:26/219)(p=0.4)であった。 また根治術(n=231)に対するOM (P vs S)=(16.2%:11/68 vs 6.7%:11/163) (p=0.046)。staged群inter-stage mortality OM(SW)=26.8%(15/56)。多変量リスク解析にて、OMに対してrepeat PAB(p=0.04)、術前因子(shock, CPR等)(p<0.0001)、術前Catecholamine投与(p=0.04)が、AEに対して、未熟児(P=0.01)、low volume center (<25% per tile)(p<0.0001)が危険因子であった。
【結語】本邦TAC70%以上にstaged repairが選択されている。治療成績には合併疾患より患者術前状態に大きく影響を受ける。術後経過には術前状態に加え施設経験の影響も示唆された。成績向上に向け改善の余地はあり更なる飛躍を期待したい。