[III-OEP10-1] 機能的単心室Norwood型術後体肺短絡様式による経カテーテル的介入の比較検討
Keywords:single vencticle, shunt, intervention
【背景】機能的単心室の段階的治療において,肺血流供給源として,従来のBT shunt (BTS)やRV-PA conduit (VPC)に加えてリング付きconduit (Dunk technique) の選択に変遷がみられるがその貢献度は不明である.【目的】厳密な調節が必要となるNorwood型術後患者の肺血流供給源に着目し,その後必要となるカテーテル検査・治療(CI)の効果,患者負担から選択基準を検討する.【方法・対象】当院にて1998-2019年までに心カテを行った機能的単心室のNorwood型第1期術後患者77例(97件)を対象とした.VPC群(V群) 40例(50件)・BTS群(S群) 22例(30件)・Dunk群(D群) 15例(17件)の3群に分けて,CIの種類別施行率,所用時間・造影剤量・被ばく量,合併症を比較した.【結果】心カテ時の月齢/体重に差はみられなかった(中央値: V群4.5か月/4.3kg,S群5.0か月/4.5kg,D群平均5.0か月/4.9kg).S群,D群はCI後の合併症・早期死亡はなかったが,V群(2007年以前)では6/50例で合併症(完全房室ブロック3,心房粗動1,高肺血流早期死亡2)を認めた.CIの必要度ついて,V/S/D各群 全施行率(%) 58.0/56.7/94.1,側副血管塞栓術施行率(%) 24.0/43.3/82.4,短絡-肺動脈血管形成術施行率(%) 18.0/3.0/11.8,大動脈縮窄血管形成術施行率(%) 14.0/0.0/23.5と,D群で高かった.心カテ負担の指標では,V/S/D各群平均値 手技時間(分) 114.0/85.3/143.2,総透視時間(分) 37.3/28.5/54.9,被ばく指標DAP/BW(μGym2/kg) 75.7/69.8/97.0,空気カーマ値(mGy) 84.8/57.2/136.6,造影剤使用量(ml/kg) 4.7/4.5/4.7 となった.【考察】Norwood型術後の心カテでは,CIの必要度と患者負担においてD群>V群>S群の順に大きく,D群,S群では合併症は認めなかった.術後早期の安定した循環動態のために限りDunkを選択する,できればその設置方法を向上させる,心機能・房室弁機能に余裕のある例では可及的にBTSを選択するという方針が考慮される.