[III-PD08-1] 心室破綻
Keywords:フォンタン, 心室機能, 心不全
フォンタン循環は、一定の条件を満たした機能的単心室症例に対する機能的修復復術であり、チアノーゼを改善する。この循環は、肺側心室を有さない根本的な制約の中、心拍出量・中心静脈圧(臓器うっ血)を許容内に保つべく循環システムの統合的な調節・適応がなされて成立する。良好なフォンタン循環であっても高い後負荷による後負荷不整合の傾向を有し、静脈キャパシタンスを低下させて中心静脈圧を維持する。早い心拍数に対する機能応答は不良であり、運動時の中心静脈圧の上昇は大きく、前負荷・心拍出量は増大しにくい。こうしたフォンタン循環の年余にわたる維持は、一方で限界を有し、さまざまな破綻に直面し得る。
近年、遠隔期生存のリスクが最も高いのが、高い中心静脈圧で高い心拍出量の集団と報告されており、二心室循環の心不全像と特徴が大きく異なる。このことからも、拍出不全としての心室破綻は概して遠隔期フォンタン循環の破綻の中枢ではなく、フォンタン循環により生じた諸臓器の破綻が先んじて現れるように感じられる。機能・負荷の異常による拍出不全としての心室破綻は、dyssynchronyや弁機能異常、今後加齢とともに増大が予想される虚血などの病態では前面に出現し得る。本講演では、広く良好なフォンタン循環からさまざまなフォンタン循環破綻までを心室から概観したい。
近年、遠隔期生存のリスクが最も高いのが、高い中心静脈圧で高い心拍出量の集団と報告されており、二心室循環の心不全像と特徴が大きく異なる。このことからも、拍出不全としての心室破綻は概して遠隔期フォンタン循環の破綻の中枢ではなく、フォンタン循環により生じた諸臓器の破綻が先んじて現れるように感じられる。機能・負荷の異常による拍出不全としての心室破綻は、dyssynchronyや弁機能異常、今後加齢とともに増大が予想される虚血などの病態では前面に出現し得る。本講演では、広く良好なフォンタン循環からさまざまなフォンタン循環破綻までを心室から概観したい。