The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

パネルディスカッション

次世代育成

パネルディスカッション09(III-PD09)
次世代育成プロジェクト4 「次世代育成のための制度設計における解決すべき課題」

Tue. Nov 24, 2020 3:00 PM - 5:00 PM Track1

座長:安河内 聰(長野県立こども病院循環器センター)
座長:芳村 直樹(富山大学医学部 第1外科)

[III-PD09-3] 小児心臓外科医の育成(内科系専門医制度の立場から)

土井 庄三郎 (国立病院機構 災害医療センター)

Keywords:施設の集約化, 周術期管理のワーク・シェアリング, 小児心臓外科医の本気度

わが国では、第三者機関(日本専門医機構)による新専門医制度は、19の基本領域で始まっているものの、小児循環器専門医などのサブスペシャルティ(サブスペ)領域では、依然として「各学会が認定した専門医」制度が継続されている。学会認定専門医の問題点は、各専門医間の「質と量」の大きな偏りの存在と、類似の専門医乱立による違いの不透明さであり、一般人にもわかりやすい公平で公正な「専門医」認定を、第三者機関に委ねることとなった。日本専門医機構内に種々の問題が指摘され、厚労省が新専門医制度を操り始めたこともあり、サブスペ領域での新制度開始は大幅に遅れている。現在、基本領域を「小児科専門医」とするサブスペ専門医として、小児循環器のほか、小児神経、周産期(新生児)と小児血液の4領域が先行開始予定であったが、Pandemic COVID-19の影響もあり開始時期は更に遅れる予定である。 「小児心臓外科医の育成」が学会内でも大きな問題として取り上げられ、小児循環器医師にとっても喫緊の重要課題として認識されている。小児心臓手術を施行する施設の集約化は、若い小児心臓外科医の研修の質の担保、手術成績の向上、医師の働き方改革や、診療報酬の観点からも推奨される方策と考えられる。周術期管理に関しては外科医師の関与は必須ではあるが、小児循環器医師の外科/集中治療ローテーションによるタスクシフト/ワークシェアリングは、外科医師の負担軽減だけでなく、小児循環器医師の臨床経験にもなる良策と考える。 大切なポイントは幾つかあるが、一番は「小児心臓外科医の本気度」であり、ほかに集約化基準の作成 、患者分散の実態統計把握 、医療施設の規模把握 、行政との連携 、患者理解の促進の試み 、小児心臓外科医のコンセンサス・ 必要数・適材適所・トップのガバナンスと 小児循環器医師の一体となった支援などがポイントと考えられる。